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“母親と娘“の関係性が難しくなるわけは?

親にとって子どもはかけがえのない存在。息子であっても娘であっても、分け隔てない愛情を注いでいるに違いありません。それでも、母親にとっては、同性である娘との関係は難しいとか…。

「母親と娘」の関係性が難しい理由を挙げ、難しさ克服への対処法について考えていきましょう。もちろん、個性や関係性は性別で区分されるものではありません。ここではあくまで一つの「傾向」として、お伝えして参ります。


母親にとって、娘との関わりが難しい理由

「お母さんは、お兄ちゃんには何も言わないのに、私にばかり文句を言う」。

母親の対応が、娘と息子で違うとしたら…。そんな違いを生み出す「心理的要因」と「社会的要因」について解説します。

心理的要因

母親は、同じ性別である娘に自分自身を投影してしまう傾向があります。娘と自分を重ね合わせて見てしまうということ。そのため、自分が感じたことや、過去に経験してきたことを、娘をサポートするつもりで言いたくなってしまいます。

・それはやめた方がいいわよ。
・そのファッションはどうかと思うな。

よかれと思っての言葉なのでしょうが、娘にとっては耳障りな言葉かもしれません。

また、自分が過去の達成できなかった夢や我慢してきたことを、子どもへの期待に置き換えてしまう傾向も。

・あなたは生涯仕事を続けていくべきよ。
・お母さんは失敗しちゃったから、あなたには頑張ってもらいたいの。

経験してきたからこそ「伝えてあげたいこと」なのかもしれませんが、親の人生を一方的に負わされるのは、娘にとっては負担感や制約でしかありません。一人ひとり考え方は異なります。不要な押し付けで、子どもの可能性を制限しないよう配慮が必要です。

社会的要因

・女の子なのに、その言葉づかいはないでしょう。
・女の子が行くならこの学校がいい。

多様性が尊重される時代になってきたとは言え、いまだ社会の中には、性別による役割分担意識が残っています。「子どもを守りたい」という思いで、母親が娘に「女の子らしさ」を求めてしまうこともありそうです。

しかし、いまだかつてないほどの勢いで変化する社会を生きる子どもたちには、新しいものの見方が必要です。過去の社会に埋め込まれた価値観を、押し付けないような意識が求められます。

難しさを克服するための3つの対処法

難しさを超えるためには、知ること・気づくことがスタートです。そして女性・男性という枠組みを外し、一人ひとりに目を向ける意識が大切です。3つの対処法にまとめます。

1.自分が持っている固定観念に気づく

自分には、性別に関する固定的な思い込みがないか、日々意識していくことは大切です。これらは、無意識の思い込みが故に、意識を向けなければなかなか気づかないのです。

・これって、私の思い込みかな?

自分に問いかける習慣を作ってみましょう。特に、娘との間に摩擦を感じた時には、相手を攻め立てる前に、自分に意識を向けてみてください。


2.決めつけたり押し付けたりしない

・女の子は皆真面目に勉強しているわよ
・その大学に行っても(女の子には)就職がないんじゃないかな
・あなたは男の子だった方が成功したわね

女性を起点とした決めつけ言葉を使っていませんか。性別に対する固定観念を相手に押し付けないためには、使う言葉に意識を向けることが有効です。決めつけ言葉をできる限り減らして、事実を話すよう意識しましょう。上記の例なら、以下の言葉に変換します。

・Aさんは、毎日忘れずに宿題をやっているそうよ
・その大学の卒業生の就職先は見たかな
・あなたらしいね

自分に届けられる言葉次第で、子どもの意識が変わります。意識が変われば、行動も変わります。


3.「この子」の気持ちを知るために話す

「母親と娘」の関係性が難しいことを前提に、だからこそ直接話しをすることを大切にしてください。わかったつもりにならないことが重要です。その時々の娘の気持ちは、聞いてみなければわかりません。

・あなたの意見を聞かせてくれるかな?
・あなた自身は3年後にどうしていたい?

母親と娘の関係性は、年齢を重ねるごとに変化するようにも思います。娘が大人になったころには、共に人生を振り返り、共感的に話し合ったり聞きあったり。あたかも同士のような関係性が待っているかもしれません。

執筆:江藤 真規さん
株式会社サイタコーディネーション代表
中学受験の保護者の場「Talk Space」主宰
https://buqq6.hp.peraichi.com/talkspace
自身も子育て経験を持つ二児の母で、お子さんは姉妹共に東大現役合格
2010年より子育てコーチングスクールを主宰運営、 数多くの保護者の悩み相談に関わっている
2019年には文部科学省「男女共同参画推進のための学び・キャリア形成に関する有識者会議」の委員も務め、共働きに関する知見も深い


著書
『勉強ができる子の育て方』
『合格力コーチング』
『子どもを育てる魔法の言い換え辞典』
『母親が知らないとツライ「女の子」の育て方』

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