「頑張りすぎ」が心配?子どもの「頑張る」を支える親の関わり
勉強も部活も何でも頑張る子ども。真面目で一生懸命な性格ゆえ、弛まぬ努力を重ねながら、次々と成果を出していきます。
ただ、本人のキャパシティを超えるほどに頑張っていたら。
楽しさどころか、苦しそうで辛そうにしていたら。
知らないうちに自分を追い込み、つぶれてしまわないようにするために、親には何ができるのかを考えていきましょう。
「頑張りすぎないで」は伝わらない
「頑張りすぎないで」というこの言葉は、頑張りすぎの子どもには伝わりません。
「頑張る」背景には、子どもなりの理由があるからです。それを突然、「そんなに頑張らなくていい」と言われてしまえば、自分が否定されているようにさえ感じてしまいます。
そもそも、「頑張る」ことに価値を置くようになったのは、親のそれまでの関わり方が大きい可能性も。
例えば、幼少期から「よくできた」「素晴らしい」と褒められ、「あなたならきっとできる」と大きな期待を寄せられていたら…。さんざん「頑張れ」と言ってきたのに、今度は「頑張るな」となってしまうと、親子の信頼関係だって薄れてしまいかねません。
気になる子どもの「頑張りすぎ」ですが、「頑張る」行為だけを取り上げて説得しても、いい結果にはならないということです。
頑張りすぎてしまう理由
なぜ、そんなにも頑張るのか。いつも頑張ってしまうのか。個性と片付けることもできますが、頑張りすぎてしまう理由を紐解いていくと、子どもの気持ちが見えてきます。
期待に応えたい完璧主義
できる自分でありたく、期待に応えたい。特に社会的自尊心という「他者より優れている」ことが大きな価値となっていると、評価されることを好み、頑張って、頑張って成果を出し続けていきます。
ただ、ずっと右肩上がりで進むことは難しく、壁にぶつかることも。また、頑張っても成果につながらないことも当然あり、そんな時には葛藤を抱えてしまいます。
他人に相談するのが苦手
困りごとは誰にでもあります。そんな時に、誰かに話すことができれば、心がラクになるでしょう。解決策が見えてくるかもしれませんし、助けてくれる人が出てくるかもしれません。
しかし、自分が困っていることを言えない子だっているのです。弱い自分を見せたくなかったり、できない自分はダメだと思い込んでいたり。過去の経験によって、他人を信じられないというケースもあるかもしれません。
休むことへのネガティブな感情
休むことに対してネガティブな感情を持ってしまっている場合もあります。
スイッチはずっとONのまま。怠けてはいけない、ラクをしてはいけないという価値観です。人間は機械でないこと、休むことがどれだけ大切なことかに気づいていない状況です。
頑張りすぎる子どもへの5つの関わり方
では、頑張りすぎる子どもにどう関わることができるのでしょうか。子どもがつぶれてしまう前に、親ができることを考えてみましょう。
1.子どもの気持ちを探る
「大丈夫?」と聞けば、子どもは「大丈夫」と返してきます。ですから、こちら側から子どもの気持ちを探っていくことが大切です。
例えば、徹夜で勉強を頑張っているとしましょう。なぜ、徹夜をしてまで頑張っているのか、何のために徹夜をしているのか。子どもにはどのような景色が見えていて、どんな気持ちでいるのかを推測します。
頑張り続けている子どもに「なぜ、そんなに頑張るの?」と質問をしても、的確な答えは戻ってこないでしょう。「頑張ること」が、当たり前になっているからです。まずは、こちら側から推測していくことが大切です。
子どもの気持ちが見えてくれば、少なくとも、子どもを更に追い込むことは回避できそうです。
2.サインを見逃さない
心身ともにギリギリの状況になっている時、人は何らかのサインを出します。イライラする、睡眠が浅い、食欲がない等の不調を訴えてきたり、成績の変化や友達関係の変化があったりします。
しかし、親はこのサインになかなか気づきにくいもの。「このくらいなら大丈夫だろう」「過去にもそういうことがあったから大丈夫」等、正常性バイアスという認知バイアスが働いてしまうからです。
もちろん、過敏になりすぎるのはNGですが、「あの時、気づいておけばよかった」ということがなきよう、気になることがある場合には注意して見守る姿勢が必要です。
3.目標の見直しをする
目標は自分自身で立てるもの。確かにそうなのですが、例えば「毎日5時間、家で勉強する」等、自分に厳しすぎる目標を子どもが立てていたとしたら。それによって、睡眠が極度に不足していたとしたら。
途中で気づき、目標の立て直しができればいいのですが、一旦立てた目標を変えることに不安を感じてしまう子どももいます。自分に厳しすぎる目標によって、過度なストレスを抱えている場合は、現実的な目標に設定し直す手助けをしてあげましょう。
頑張っていることを認めた上で、「そもそも、何のために頑張っているのか」「その頑張りは持続可能か」等の質問をしてみてはいかがしょう。子どもが自分を客観視するために役立ちます。
4.休息の大切さを教える
「休むことは悪だ」と捉えている子どももいます。「休んだ方がいいよ」という言葉が「自分の足を引っ張る言葉」にさえ聞こえてしまいます。そんな場合には、知識として「休息が成長の一部」であることを伝えてみることも必要です。
科学的な根拠をもって「睡眠中に脳が成長していること」等を伝えれば、意図的に休息時間を確保し、バランスを取ることができるようになるかもしれません。
5.受容する
最も基本的で重要なことは、ありのままの子どもを受け入れ、受容することです。
「私は大切にされている」
「どんな自分であっても家族は受け入れてくれる」
こんな思いが子どもの中に育っていれば、つぶれてしまう前にSOSを出すことができるでしょう。
具体的には話を聴くこと。自分の意見は挟まずに傾聴します。オウム返しをしながら聴けば、対話が続きやすくなります。子どもの意見を否定せずに、自分の意見は「私の考えを言ってもいい?」と確認してから伝えます。
「あなたらしいね」「それはあなたの強みだね」等を交えていくと、子どもはより一層、受け入れられている気持ちになることでしょう。
子どもの個性は様々です。一人ひとり、その時々で異なります。子ども自身には見えない世界を、「鳥の目」となり親が伝えていく。そのような気持ちで、子どもの頑張りを見守りつつ、無理をしすぎない環境づくりをサポートしていってください。
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