勉強しても成績が伸びない子に潜む"意外な理由"とは
勉強しているのに、成績が上がらないのはなぜ?
勉強していても成績が上がらないケースはよくあります。しかし、詳細にその原因を見ていかないと、間違った対応をしかねませんので注意が必要です。
考えられることとして次の4つのいずれかになると思います。
1.本当は勉強していない
「実は勉強していない」と言われると「え?」と思われるかもしれませんね。「親から見ても勉強時間は確保できている」という状態なので、勉強していないことはないと思うでしょう。
しかし、このような子がいることも事実なのです。ケースとしては次のような状況です。
これらはすべて「勉強していない状態」と言います。勉強時間が長いかどうかではなく、内容つまり質が大切なのです。
伸びる子は、短い時間でポイントをおさえて学んでいます。無駄なことをやりません。これが極まると、「あの子は勉強をほとんどしていないのになぜできるの?」と言われるようになります。このような子でも勉強はしています。学校の授業中にマスターしていたり、家では、欠けている部分を中心に学ぶことで、最短時間で最大効果を出しています。
2.間違った方法で勉強している
勉強にはやり方があります。伸びる子はほぼ全員同じやり方をしています。しかし、このやり方は世の中に広まることはありません。広まってしまうと、皆成績が上がってしまうから、言わないのです。
筆者はこれまで36年間、子どもたちの指導、親御さんへの相談回答を行ってきましたが、伸びている子がやっている方法、伸びる子になるための親の接し方に共通したものがあるとわかっています。
それを記事や書籍、Mama Cafeでお伝えしていますが、ここでは次の点についてお話しておきます。これがわかるだけでも、かなり変わると思います。
例えば、試験によく出る部分をランク分けし、出る順にA、B、Cになるとします。Aの部分を覚えると80点とれ、AとBの部分を覚えると90点とれるように作られているということです。そしてCの部分まで覚えると100点になります。それをBまたはCを覚えてばかりいて勉強しているつもりになっても、点数はいつまでもとれません。
よく要領のいい子は良い点数を取るといいますが、彼らまずAランクを覚え、そして次に時間があればBランク、そしてさらに時間があればCランクを学習するのです。これを世間では要領がいいと言っているのでしょう。
ではランクを見切るにはどうすればいいでしょうか。
一言で説明するのは難しいのですが、あえて言うとすれば、「要するに何を言っているのか?」という問いに対する部分がAランクです。それを説明するために必要な付属部分がBランク、さらに発展的に重箱の隅をつつくような難しく細かいことがCランクです。
樹木で言えば、科目という幹があれば大枝がAランク、小枝がBランク、葉っぱがCランクです。あまり重要でない葉っぱばかり覚えてもきりがないのです。何でも「要するにどういうこと?」という発話をしていると、おのずと核心をつかめる習慣ができ、Aランクを見出すことができるようになります。
このように、勉強にも優先順位があります。その優先度にしたがって学んでいくと、無駄なく伸びていきます。一般に子どもたちはこのようなことを知りません。ですから大人が教えてあげないといけないのです。
なお勉強法については次のような書籍を出していますので、よろしければ参考にしてみてください。
3.これから上がる手前
方法は合っているけれども、成果として見えるのに時間がかかっているケースです。
漢字テストなど、今やって明日のテストで満点取るということであればわかりやすいですが、学力というのは、そうそう簡単に即席で見えるように上がることは考えにくいものです。タイムラグというのがあるのです。ちょっと時差がある感じですね。では、どれくらいの時間を見ればいいでしょうか。
筆者が子どもたちに指導していたときは、1か月で目に見える上昇感をもたせるために成績を上げることを目標に行っていましたが、1か月はかなり早い方です。通常は3か月みます。3か月同じことをやっていても、テスト結果に反映されていないとしたら、そのやり方は間違っています。やり方が正しければ、3か月以内に確実に成果はでてきます。
4.実は上がっている
最後は、質問の意表を着くケースだと思います。「成績が思うように上がっていかない」の"思うように"とはどのような状況をさしているのでしょうか。
例えば、中学校の成績は5段階評価が一般的です。その中で3の成績がついたとしましょう。今回は頑張ったのに4にならなかったと。しかし、3は3でも、3の下と3の上があるはずです。
下だったのが上になっていたら、上がっていると言えませんか?ただ表記上は同じ3です。上がっていたのに、上がっていないと解釈することによってモチベーションが低下し、上昇基調だったものが、下降基調になることはよくあります。
このように、成績とは何のことを言っているのか、実態はどうなのかを調べる必要があるわけです。
そこで見ていくのはテストの点数です。小学校であれば、カラーテストが継続的に70〜80点取れているようであれば基本はできています。あとは、満点を取りたいという気持ちがあるかないかだけです。
中学校の場合は、定期テストの点数を平均との乖離でみていきます。これを一般的に「偏差値」と言います。偏差値もこのようにして使えば有効的ですが、通常、学校の定期テストでは偏差値は出さないでしょう。そこで、先生に平均点を聞きます(一般的には平均点を出しています)。または、順位が出るのであれば順位でもいいかもしれません。
このような数値化されたものを見て、上昇基調にあるのかないのかを見ていきます。あまり変わり映えがないのであれば、勉強方法が間違っているので、伸びるやり方に変えていきます。
子どもの成績向上のために親が最初にやるべきこと
以上4つの点についてお話してきました。おそらくこの4つのいずれかにあたると思います。ですから、親としてはまず、何が原因なのかを調べることから始める必要があります。そして子どもに「◯◯しなさい」という口調ではなく、子どもと一緒に原因を見つけ、どうしたらいいかを一緒に考えていくスタンスで対応するといいでしょう。
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