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3つのステップで解決!部活ばかりで勉強しない子との関わり方

【質問】
中1の子どもがいます。中学に入り、部活に熱中し勉強をしなくなりました。定期テスト前でも勉強はやらないので、当然点数がよくありません。部活に熱中するのはいいですが、勉強も頑張ってもらいたいと思っています。どのような声かけをすれば勉強するようになるのでしょうか。

山本さん(仮名)

中学に入り、子どもが勉強しなくなったという話は少なくありません。
特に中学受験した子は、全力を受験に注ぎ込んだ子も多いため、中学に入ってからもまた勉強することに辟易している子もいます。

また、山本さんのように、子どもが自分に熱中するものを見つけて、そこのエネルギーを注ぎ込みすぎて勉強へのモチベーションは残っていないというケースもあります。

このような状態は親としてなかなか気になるところです。勉強はある程度はできるようにしておかないと今後が心配になるのは親として当然のことだと思います。

しかし、親としてどのようにして子どもに勉強させるようにすればいいか、その方法を知っている人は多くはありません。
そもそも親自身も子どもの頃、勉強に対してのモチベーションはあったのかどうかも疑問ですが、それはさておき、対応方法についてお話したいと思います。

以下、手順という形で示していきますので、順を追って説明していきます。
おそらくこの手順に驚かれることでしょう。その理由は最後にわかると思います。


ステップ1.子どもの部活を全力で応援する

まず、子どもは部活に対しては熱中しているということですね。
ということは子どもにとって今一番大切にしていることが部活なので、それを大切にしてあげます。親としては「それはそれとして勉強も」と思われるかもしれませんが、それはあえて言いません。

ではどのようにして応援するかというと、具体的には子どもの部活動に興味関心を持って、様々質問していきます。質問するということは相手に興味があるということを意味します。

すると子どもは自分の好きなことなので、たくさん話す可能性があります。それに共感しながら聞いていきます。

共感とは、「なるほどね〜」「それは大変だったね」「そんことがあるんだ」というように肯定的に受け止めたり、子どもの気持ちをフィードバックしたりすることを言います。すると子どもは増々話しをしていきます。

人は自分に興味を持ってくれる人のことを悪い人とは思いません。これを繰り返しているうちに、親子の信頼関係が厚くなっていきます。

子どもとすでに信頼関係ができていると思うかもしれませんが、これまで筆者が相談を受けてきたママさん1万人の例で言いますと、約半数は信頼関係が築けていませんでした。

信頼関係ができてくると、子どもは親の言う事に反発することは少なくなります。また子どもから心配事や悩んでいることを話してくるようになりますが、そのような状態になっている親子は半数程度でした。

こうして子どもの興味があることに親が関心を示すと、子どもも親に対して信頼するようになります。

ただし、注意点が一つあります。
子どもの意見に対してジャッジ(良い悪いの判断)をしないことです。

一度否定されると、二度とそのテーマでは話をしてきません。あくまでも聞いてあげるというスタンスでいてください。それだけを守っていれば問題ありません。

ステップ2.子どもへの期待値を下げる

信頼関係ができてきた(*)と思ったら、次に子どもへの期待値を下げてください。

期待値とは例えば、「〇〇ぐらいの成績を取ってもらいたい」「毎日勉強してほしい」といったことを指しますが、それを一気に究極まで下げてください。究極の期待値とは「この子が健康で生きているだけで幸せ」というレベルです。

よくよく考えてみると、親の子どもに対しての最も根源的な希望とは「健康で生きていること」ではないでしょうか。それさえあれば、後の出来事は全てラッキーなことになります。

例えば、子どものテストの点数における親の期待値が80点の人がいたとして、通常60点ぐらいしかとれない子が70点を取ってきても褒める、認めることはしません。

「少しは上がったね。やればできるんだから、80点ぐらいとれるんじゃない?」と言うことがありますが、この文脈は「あなたのことをまだ認めていないよ」というメッセージになります。

子どもは基本的に親を喜ばせたいと思っています。どの子も必ずそのように思っています。

しかし、期待値が高いといつまでも子どもは親を喜ばせることはできません。そのうち、やってもしょうがないと思うようになることでしょう。

そこで、この期待値を究極まで下げるとどうなるでしょうか。すると60点が70点になったら、親は「うわーすごい!」と反応すると思います。
子どもはこれを望んでいるのです。

親が子どもに対する期待値を究極まで下げてしまうと、子どもがやること、なすことは全て親にとってはラッキーにしか見えません。すると自然と親の子どもへの声かけの種類が変わります。

*信頼関係ができたとは、子どもから自分のことを様々話してくるようになった段階

ステップ3.子どもの自己肯定感を上げる

最後に、子どもの自己肯定感を上げる作業に入ります。

ステップ2で期待値が下がっているので、子どものやることについて、この段階ですでに見え方が変わっています。子どもの自己肯定感を上げることは容易にできます。

自己肯定感とは、「短所も含めて今の自分はいけているね」と肯定的に感じる心の状態のことです。実はそのことを「個性を認める」といいます。

それを言葉の力を使って行います。具体的には拙著「子どもの自己肯定感を高める10の魔法のことば(集英社)」に詳しく書きましたので、参考にしていただけけると幸いですが、いくつか紹介しておきましょう。

【承認の魔法のことば】 「いいね〜」「さすがだね〜」「すごいね〜」

これらは、褒めることとは異なります。
褒める出来事はそうそう日常であるものではありませんし、褒めるときは相当なエネルギーを使って全力で相手を褒めるため強烈な刺激となって相手に伝わります。

そのため、そのような刺激を頻繁に使っていると、いつしか慣れてしまい刺激が弱くなるだけでなく、肝心の褒める場面で効果がなくなります。

ですから通常は、褒めるのではなく、認めることをします。ちょうど、InstagramやFacebookの「いいね」を押すことと同じように。
あれは褒めているというよりは、認めている感じだと思います。

子どもは、褒められるよりも、認められることを望んでいます。
ですから、この3つの言葉を、軽くフワッとした感じで何度も使ってみてください。効果はほぼ間違いなく出てきます。
これまで5万人以上の方がこの言葉を使って、その効果の報告がいくつもきていますので、ぜひ試してみてください。

【感謝の魔法のことば】 「ありがとう」「嬉しい」「助かった」

この言葉を言われて嫌な思いをする人はいません。
特に「ありがとう」という言葉は言うことも効果がありますし、言われる側にも効果があります。ちょっとしたことでも、「ありがとう」「嬉しい」「助かった」と言ってみてください。使えば使うほど効果があります。

これで以上です。

「勉強のことについては話をしなくていいの?」と思うかもしれませんね。
しなくていいのです。

もし、ここで勉強の話をすると全て黙阿弥となります。
子どもから勉強の話が出てきたときは相談に乗りますが、こちらからは切り出しません。

すると子どもが自主的に勉強をやり始める確率が高まります。
勉強をやらせようとして話をして子どもが勉強する確率と、上記のステップを踏んで勉強の話をしない確率を比較すると、後者の方が圧倒的に高いことはこれまでの経験からわかっています。騙されたと思って試してみてください。

執筆:石田 勝紀さん
20歳で起業し学習塾を作って以来、4000人以上の子どもたちを直接指導し教育に35年以上携わる。35歳で東京の私立中高一貫校の経営者として生徒数1600人の学校の立て直しを行う。
東洋経済オンラインの連載執筆は230回以上、カフェスタイル勉強会「Mama Café」を毎年全国で130回以上実施。音声配信Voicyで子育て・教育相談の回答を1200日連続配信している。TV、新聞、雑誌などメディア出演多数。書籍は25冊出版。


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