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反発するのは親のせい?反抗期の子に対する正しい行動とは

【質問】
中2の息子がいるのですが、決めた約束を守らず、注意をしても反抗してきます。思春期・反抗期だと思いますが、どう対応したらよいのでしょうか。

奥村さん(仮名)

子どもの反抗はなぜ起こるのか

子どもの反抗期というのは、全部で3つあると言われています。第一次反抗期の1歳〜3歳半、中間反抗期の5歳〜10歳、第二次反抗期の11歳〜17歳です。

特に思春期と言われる時期とも重なる第二次反抗期は、子どもたちは「理由のわからないイライラを抱える期間」と言われます。まさに奥村さんのお子さんはこの年齢にあたります。

筆者が主宰しているカフェスタイル勉強会「Mama Café」では、多くの質問をいただきます。その中の大半は、「親の言うことを聞かなくて困っている」というものです。すると、大概は、上記のような子どもの反抗期が原因と大人たちは考えます。

しかし、ここで視点を少し変えてみます。子どもは何もない状態でいきなり反抗することはありませんね。つまり、反抗の前に何か"ある働きかけ"があるから、それに対して反抗するわけです。Mama Caféでも、相談内容のはじめに「子どもが反抗する」という時点から話が始まります。そこで、私が「ちょっと待ってください。子どもが反抗する前に、ママさんは何か言っていませんか?」とストーリーを少し巻き戻します。すると「言っています(笑)」と答えます。

このように反抗というのは、その前に、反抗することを言ったり、やったりしていることがほぼ確実と言ってもいいでしょう。そして、大抵は、子どもがやりたくないこと、嫌がることなので、子どもは反抗するか、スルーするか、嫌々やるかのいずれかになります。中2男子のお子さんということなので、反抗率が高いことは容易に想像できます。

では、ここで親視点に変えてみましょう。

親としては、子どもの目に余る言動に対しては、「正さないと」と思うのも無理はありませんし、極めて正常なことだと思います。しかし、子どもが反発するということは、何か「アプローチ」が違っているということを意味します。アプローチが違っているのに、何度も同じことをやるから、火に油を注ぎ、ますます双方燃え盛っていくのです。

ここで知っておくとよいことは、「作用・反作用の法則」です。この法則は物理の力学の法則ですが、この法則は人間関係でも当てはまります。つまり、「ある働きかけすると、逆向きに同じ力が働く」というものです。

「宿題しなさい!」と言えば「やらない!」となり、「ゲームをやめなさい!」と言えば「やる!」となるのは、この法則が働いているからです。

第二次反抗期とは、子ども側の思考が発達し、ボキャブラリーが増え、体も大きくなり、親に近づくことでようやく自我が芽生えた頃でもあります。そのようなときは、親が言えば言うほど、作用・反作用の法則が働き、子どもはエネルギーがあるので強く反発するということです。これが、今の奥村さんのおかれた状況です。

反抗期に親ができる3つの方法

では、どうすればいいのでしょうか。ここから具体的な方法について3つお話します。


1.少し待つ

この文章を読まれている方も子どもの頃、今やろうとした時に親から「やりなさい」と言われて、「今やろうと思ったのに!」と言ってやりたくなくなった経験はないでしょうか。

筆者は年間50回以上、保護者向けのPTA講演会を行っていますが、その度にこのことをお聞きし、挙手してもらいます。すると大半(ほぼ全員と言っていい)の方が手を挙げます。つまり、今大人である親も、子どもの頃に親から言われて嫌だったことを、自分が親になると同じことをやってしまっているということです。

もちろん、私も子どもの頃、親から言われた経験が何度もあります。

これはなぜそうなるかといいますと、大人と子どもでは時間の感覚が異なることにあります。

例えば、親が40歳、子どもが10歳ですと、年齢比が4:1です。その逆の比だけ時間が異なると言われています。ということは、40歳の親にとっての1時間は、10歳の子どもにとっては4時間という感覚です。これは生きている年数が異なるからです。40年分の1時間と10年分の1時間では感覚は異なります。

そうなると親は常に子どもより時間を早く感じることになり、「もっと早くしなさい」という感覚が出てきて、子どもに声かけする可能性があるということです。ですから、子どもが今やろうと思ったその直前に、親が「やりなさい」と言うことは想像できます。

ですから、言いたくなったら、少し待つという姿勢を持ってみるのはいかがでしょうか。少しとは5分でも10分でもいいと思います。もちろん、それでも子どもが変わらないことはあると思います。しかし、言わなかったことで、その間にやり始めることもあるはずです。


2.ワンポイントアドバイスにする

ワンポイントアドバイスというのは、「指示、命令、脅迫、説得」構文を使うこととは異なります。指示、命令とは「〜しなさい!」という構文です。脅迫とは「◯◯やらないと▢▢になるよ」という構文です。説得とは「これは大切だからやらないとね」という構文です。これらはいずれも、子どもの心に響きません。

そこで、ワンポイントアドバイスにしていきます。ワンポイントアドバイスとは次のような構文です。

「◯◯をやるには、▢▢のようにやるといいらしいよ」

ワンポイントなので1つです。1つの簡単なアドバイスであれば、子どもは素直に受け取り、実行する可能性がぐっと上がります。そして、「〜らしいよ」と伝聞形で伝えるのがコツです。伝聞形だと子どもは受け取りやすくなります。ぜひ、試してみてください。


3.問題点は一緒に考える

これは、上記の(1)(2)のいずれをやっても効果がない場合に行います。問題点を一緒に考えるには、「家族会議」を開きます。家族全員集合し、問題点をどのように解決していくかを真剣に話をする場です。

ただし、家族会議には手順あるので、必ずこのステップを踏んでください。

ステップ1.はじめに目的について共有します
何のために家族会議を開いているか目的について話をします。例えば「今後の勉強をどのようにしていくのか?」などです。

ステップ2.子どもから話しを始めます
目的の確認ができたら、現在の勉強に対してどうしていくのか、どうしたいのかについて子どもの考えを話してもらいます。

しかし実際は、中学生ともなると「別に」とか「どうでもいい」というような漠然とした言葉で返してくることが多いですが、それで問題ありません。子どもから意見を先に言う場を設定することが大切であって、内容は重要ではありません。注意点としては、子どもの上記のような発言に対して親が感情的反応をしないことです。

親または子どものいずれかが感情的になった場合は、家族会議の日をあらためます。感情的になると話し合いができないため、一端中断となります。それだけ真剣で冷静な話し合いの場であることを認識しておきます。

ステップ3.親からある"問いかけ"をします
さて、ここが最も大切な部分になります。子どもからの話が終わったら、次に親から子どもに話をしていきます。

通常の話し合いでは、親は「勉強は大切だからしっかりやってほしい」という希望を子どもに語ることがあります。しかし、子ども側からすれば親のためになぜやらなければいけないのかと疑問に思っています。

また、親が「自分のことは自分で決めなさい」と言うこともありますが、その後の生活で、親が口出しをしてしまい、子どもは「親は自分で決めなさいと言いながら、また関与してくるウザイ存在」と感じることもあります。

親は上記のような要望や指示ではなく、子どもの意思の確認をする「ある問い」をします。意思の確認といっても「今後、勉強をやるのか、やらないのか?」ではありません。

「今後、学力を伸ばしたいか、伸ばしたくないのか?」という問いです。

「勉強をやるかやらないか」という問いは、子どもは「やらない」と答えるか、不貞腐れたように「やればいいんだろ!」と答えることがほとんどです。そのような言葉は親に無理やりやらされていることに対する抵抗として発言されており、親にやらされていることと何ら変わりません。

しかし、学力を伸ばしたいと思っているのかどうかという問いに対しては「伸ばしたくない!」とは言い難いものがあります。子どもは本音のところでは自分を伸ばしたいとは思っていますが、様々な要因によって勉強したくない状況が生まれているだけなのです。

このような子どもの率直な気持ちを確認するためには、家族の誰か一人が感情的になってしまうと難しくなります。ですから冷静かつ真剣に話を進めていきます。

ステップ4.具体的な方法について話し合う
仮にステップ3の段階で、「自分は学力を伸ばしたいと思っていない」と答えた場合は、それを受け入れます。受け入れられたことで、子どもは自分の言葉に責任を持つことになります。

しかし、これまでの事例では、冷静な話し合いができれば、かなりの確率で「伸ばしたい」という回答が出てきます。この言葉が出てきたら、次に、勉強を阻害している要因を洗い出します。阻害する要因とは、「勉強法がわからない」「何から始めていいかわからない」「わからないことが多くてついていけない」などです。

それらに対して一つ一つ対策を立てていきます。そして何をいつ具体的にどう進めていくのかアクションプランまで具体的に決めていきます。

ここまでやらないと行動ができない子は実際たくさんいます。逆に言えば、ここまでやることで実際に行動するようになる確率が高くなるということです。

以上、参考にされてみてください。

執筆:石田 勝紀さん
20歳で起業し学習塾を作って以来、4000人以上の子どもたちを直接指導し教育に35年以上携わる。35歳で東京の私立中高一貫校の経営者として生徒数1600人の学校の立て直しを行う。
東洋経済オンラインの連載執筆は230回以上、カフェスタイル勉強会「Mama Café」を毎年全国で130回以上実施。音声配信Voicyで子育て・教育相談の回答を1200日連続配信している。TV、新聞、雑誌などメディア出演多数。書籍は25冊出版。

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