夫婦の教育方針が合わない…でもこれだけは大切にして!
「よかった、ようやく子どもがやる気になってきた!」
イライラを我慢しながら、子どもに寄り添い、やっと状況が好転しそう…というタイミングで、「ダメだな〜、まだこんな成績とっているなんて」との夫からの一言。
「えっ、ここでそれ言う?この子は、ダメだしするより、いいところを褒めてあげる方が伸びるのに…」
案の定、明るかった子どもの表情が、一気に暗くなってしまいます。
子育て方針が異なるパートナーの存在は、時としてイライラの要因に。そもそも価値観の異なる二人が、両輪となって子育てすることなどできるのでしょうか。
よくあるパートナーとの子育て方針の違い
一人ひとり考え方は異なります。解釈も人それぞれ。一つの事実に対して、見えている景色は異なるということです。特に子育て方針となれば、育った環境や、経験してきた教育に大きく影響を受けているため、たとえ夫婦であっても違って当たり前。パートナーとの子育て方針の違いは、どこの家庭にでもある話なのです。
大切なのは、その違いを対立としないこと。強硬姿勢で相手を変えようとしたり、自分を犠牲にしたりすると、「自分の心」が、穏やかでなくなってしまいます。子育てや子どもの教育に対する考え方が異なることを前提とし、どうすれば我が子に合った環境がつくれるかを考えていきましょう。
異なる考え方によるネガティブな影響
自分とは異なるパートナーの考え方を、真っ向拒絶したり否定だけで見てしまうと、その後に様々な悪影響が出てきてしまいます。
例えば、イライラが止まらなくなる。イライラが積み重なると、身体への影響だって心配です。互いに「自分の正しさ」を、子どもに押し付けてしまえば、子どもはどちらを信じたらいいのか、混乱してしまいます。「お父さんの言うことは聞かなくていいから!」等、対立関係の間に子どもを立たせてしまうと、子どもは親の顔色を見ながら過ごすように…。「両親が対立しているのは、自分のせいだ」など感じさせてしまったら大変です。自己肯定感まで下げてしまいかねません。
考え方が違うことは、決して悪いことではありません。その事実に抗ったり、自己否定につなげずに、対処していきたいものです。
違いを受け入れ、夫婦協働の子育てに向かうために
他人を変えることはできません。「そういう風に子どもに言うの、やめてくれない?」とお願いをしたとしても、悲しいかな、きっとまた同じ言葉が繰り返されてしまうでしょう。
変えられるのは自分だけ。違いを受け入れ、夫婦協働(※)で子育てをしていくためには、まずは自分の「行動」を変えてみませんか。今すぐできる4つの工夫をご紹介します。
1.自分を理解する
実は自分のことって、あまり知らないのです。他人のことは否定できても、では「自分はどうしたいの?」となると、曖昧な答えしか出てこないことも…。
夫婦協働の子育てに向かう最初の一歩は、自分を知ること、自己理解です。自分が子育てで大切にしていることは何なのか、なぜそれが大切なのか、理由とともに明確に表現できるよう、整理をしてみましょう。思考の整理には、書き出すことがオススメです。自分の考えをわかりやすく表現することができなければ、相手との建設的な意見交換はできません。
2.相手の考えを理解する
阿吽の呼吸が成り立つ夫婦関係は素敵ですが、言葉にしないとわからないこともあるのです。例えば、パートナーは、「勉強重視の進学校」に子どもを通わせたいと願っているとします。しかし、自分は「ゆったりと過ごせる附属校」が子どもに合っていると思っているとします。
ここで、「どちらの学校がいいか」という議論に走ってしまうと、二人の意見はずっと平行線のまま。双方が納得するゴールには向かいません。「なぜ、その学校がいいのか」という理由がわからないからです。
なぜ、進学校がいいと思っているのか、なぜそこにこだわるのか、パートナーの考えを聞いてみます。もちろん否定せずに、最後までしっかり聞くこと。その上で、自分がなぜ附属校がいいと感じるのか、その理由を伝えましょう。これでようやく話し合いができる段階となりました。
3.深堀り質問で共通の思いを見つける
お互いの大切にしている世界を理解しあった後は、共通項を見つける作業に取りかかりましょう。ここで役立つのが「深堀り質問」です。進学校が良い理由に、「友達と切磋琢磨して目標に向かうことが重要だと感じるから」とあれば、「なぜ、切磋琢磨が重要だと感じる?」と深堀りをしていきます。
深堀りをしていくと、どんどん話が本質に向かっていきます。「厳しさに立ち向かうことを喜びと感じてもらいたいんだ。仲間がいるから、厳しさに立ち向かうことができると思うんだ…」と返って来るかもしれません。
ここまで聞こえてくると、共感できることが見えてくるかもしれません。「仲間の存在、それは私も大切だと思う」「自分の力で喜びを感じる学生時代を送ってもらいたいのは、一緒だな」といった感じです。互いの思いに共通点が見えてくれば、「この子」を軸に、前向きな意見交換ができそうです。
4.妥協する部分と譲れない部分を整理する
夫婦協働の子育てには、妥協する部分も必要です。自分の思いを100%貫こうとせず、自分の思いを「妥協できる部分」と、「どうしても譲れない部分」に整理してみましょう。
「◯◯でなければならない」と思っていた部分に、「まあ、いいか」と思える部分がないか、考えてみてみましょう。思考を少しゆるやかにしてみると、妥協できるものが見つかるかもしれません。どうしても譲れない部分は、そのままおいておきましょう。
お互いの譲れないものが見えてきたら、「子どもにとっては」という軸で、どうすることが最もよいのか、模索をしてみてください。子どもの成長に合わせて、順番に取り入れる等、両者を合わせた新しい考え方が見つかるかもしれません。
違いを強固な絆とするために
夫婦間で子育て方針が違うのは当然のことです。しかし、違うからこそ、新たな気付きがあるのも、また事実です。パートナーにはどんな「子ども像」が見えているのだろうと、相手の視点をイメージしてみてください。新たな発見があれば、自分の視野の広がりに繋がります。
「1+1=2」。対立によって、この数字をマイナスにしないように、できれば「1+1」が2以上の数字に到達できるように、互いの意見の違いを利点として活かせるといいですね。世の中は多様性に満ちあふれています。家庭の中にある多様な考え方は、きっと子どもにとっても好影響を与えることでしょう。
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