脱・英語嫌い!英語に興味をもたせるために親ができる工夫
変化する英語教育で求められるもの
英語は小学校5年生、6年生で教科化されました。その2年間で英単語数は600〜700と言われ、2024年度の小学校教科書改訂から単語数が限りなく700に近くなると言われています。小学校によっては小1から英語に力を入れている公立学校もあり、英語に対する意識は高まる一方です。
また、2020年から順次改訂された学習指導要領では、「思考力」が重視されることになり、それに伴って「考えさせる問題」が入試でも続出しています。
例えば、大学入学共通テストの英語を見るとよくわかります。かつてのセンター試験のような発音・アクセント・文法などの小問は一切なく、すべて文章読解となっており、思考力も試されています。なお、単語は普通に勉強していたらわかるものばかりですが、その代わり膨大な文章量に取り組むことになります。
このように長期的なトレンドを見ると、英語を学ぶ上で何が大切なのかがわかります。もちろん英単語や基礎文法も必要不可欠ですが、重要なのは次の3つになります。
ここには「英単語をいかに学習するか」や「英語にいかに慣れ親しむか」ということは書いていません。ですから、これは国語でも身につけることができる能力です。言語が日本語ではなく英語で書かれているだけで、その背景で試されている力は上記の3つなのです。それを単語テストや文法問題などを繰り返すばかりでは、英語が必要な"道具"とはいえ、興味を示さない子は少なくないでしょうね。
英語に興味がないのはなぜか?
そもそも、木下さんのお子さんは、なぜ英語に興味がないかわかりますか?
理由は様々ありますが、おそらく次のことが理由だと推測されます。
「書いてある内容が面白くない」
国語であれば、多少は内容面も高度になってくるので興味が出ることもあるかもしれませんが、英語の教科書に書いてある内容を見てみてください。ものすごくつまらないです。そのような内容をやっているのですから、"素直"な子はやりたくない気持ちになるもの無理はありません。
しかし、ここで英語の先生たちや親たちは次のように言うでしょう。
「それはそうかもしれないけど、まずは単語を覚えて、文法を勉強する必要があるから、しっかり勉強するように」と。
そもそも私たちは日本語をどのように習得してきたでしょうか。生まれてから日本語の単語を覚え、文法を覚えてきたのでしょうか。私たちは言葉を発する年齢に近づくにつれて、少しずつ単語を口にしていきました。「まんま」「ブーブ」「ママ」「パパ」「いや」「好き」「嫌い」など。なぜそれを口にしたのでしょうか。親から覚えなさいと言われたわけではありません。
子どもにとってはその単語で意思表示すると、相手が反応してくれることがわかったから、口にするようになっていったのです。つまり、意味があると思って使うようになったのです。
日本語の文法を勉強しなくても、日本語を話していますし、本も読めています。なぜでしょうか。おそらく、親が絵本の読み聞かせなどをしながら、徐々に活字と音とイメージが連結していったのです。その際、親は「この絵本の中に出てくる単語は大切だから覚えるように」とか「今度書けるかテストするよ」とは言いません。単純に内容を楽しんでいるだけです。でも、見ているのは日本語であり、自然と言葉を覚えてしまっているのです。
また、日常生活でもたくさん日本語を話したり、聞いたり、読んだりする場面があります。すべて自分に使う必要性があり、興味関心がある内容だったから習得してきたわけです。
英語でこの環境を作るためにはホームステイするしかありません。日本語がない完全な英語圏で。そのようなことは現実には難しいことでしょう。ではどうすればいいでしょうか。
昔よく言われた半分冗談で、半分本気のエピソードにこういうのがあります。「英語をマスターしたければ、外国人の恋人を作れ」と。すると自分の意思を必死で伝えようとするし、相手の言っていることを必死に聞こうとするため、語学が上達する速度が早くなるというものです。つまりリアルな世界でその言葉が必要であれば人は誰でも学ぶものなのです。
ちょっとの工夫で「英語嫌い」から抜け出す
では、ここからが本題になります。以上の内容を踏まえ、「中学生の子にどうしたら英語に興味をもたせられるか?」についてお話していきます。
前述した次の3つを再掲します。
これが英語で高得点を取れる子の3つのポイントですが、その中でも2に焦点を当てていきます。
国語の教科書も英語の教科書も活字による文章が書かれています。先程も書きましたが、教科書というものは通常多くの子どもたちにとっては内容が面白くありません(一部例外の子どももいますが)。その証拠に教科書で取り上げられている本を図書館であえて借りて読むでしょうか。教科書の文章の続きを知りたくて借りる子は稀にいますが、通常は借りません。もっと楽しい本を借りるはずです。
例えば、英語の教科書に書いてある文章がハリー・ポッターだったらどうでしょうか。しかも、まだ未公開の文章であったら…。多くの子どもたちは必死で単語を調べ、内容について友達と議論し、考察していくのではないでしょうか。
しかし、残念ながら教科書には子どもの興味を掻き立てる内容は採用されていません。そこで、次のようなことをやっていきます。
一見、つまらなさそうな内容を、興味が出るように加工していきます。
例えば、何の変哲もないある家庭の起床から就寝までの流れが書いてある英文であれば、「起床時間や就寝時間から何時間寝ると最もパフォーマンスが上がるのか?」「この教科書の子はなぜ自分で起きられるのか?」「学校から帰ってきて教科書の子のようにいきなり勉強できる?ありえないでしょ」など、内容面について対話していくのです。
「日本語で話をしても英語が上達しないのでは?」と思われるかもしれませんね。今、子どもに必要な段階は、英文で書かれている内容に興味をもつことなのです。単語がわからなければ、教科書ガイドを使いながらでもいいでしょう。つまり、「英語を勉強しているといかに思わせないかということが最大のポイント」になります。
ぜひ、試してほしいのですが、このやり方をしていると英語に関心をもつようになります。私たちが意識して学ばずとも、日本語ができるようになった理由がここにあるからです。
ちなみに、中学生が学校の定期テストで高得点を取る方法は、すでに明らかになっています。このようにやれば点数が取れるという手順があります。その手順通り行えば、誰でも点数は取れます。
しかし、そもそも英語が嫌い、やりたくない、関心がまったくないというのであれば、おそらくテスト前にほとんど勉強をしないでしょうから、いくら高得点を取るための手順を教えたところで無意味になります。
ですから、まずは内容面について深く入っていく手順が必要なのです。実はこの方法は思考力の養成にもつながっています。まさに、入試で試される力が身についていくのです。ですから国語など他の教科にもプラスの影響を与えていきます。ぜひ試してみてください。
*定期テストで高得点取る子たちが共通して実践している勉強法は次の書籍に書きましたので、興味があれば参照ください。