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新年度に必見!進級・進学をチャンスにする"3つの工夫"

昨日と今日。たった一日では何も変わらないのに、進級・進学が絡むと、たった一日が大きな違いを生み出します。

昨日まで小学生だったのに、今日から中学生。
昨日まで2年生だったのに、今日から最終学年。

意識が大きく変化するのが、環境が変わるタイミング。しかし、ここぞとばかりに親の期待値が高まり過ぎてしまうと、子どもがストレスを抱えてしまうことも。

節目を上手に活用するための親の関わり、言葉かけについて考えていきましょう。


期待と不安が交差する「新しい環境」

緊張とともにスタートする新しい環境。そこには、期待と不安が交差しています。子どもは自分なりのペースで不安を超え、期待を行動につなげていきます。期待も不安も、両方ともが今必要な感情です。

「緊張しなくても大丈夫よ」ではなく「緊張感を楽しんで」と言ってあげましょう。「◯年生を誇らしく思うよ」と、新しい世界が始まる喜びを共有してあげましょう。「不安だけれども楽しみだ」と未知に向かう際に生じる感情は、成長の後押しとなるはずです。

節目に求められる親の関わり

「新しい学年なんだから、頑張りなさい」
「5年生らしく、しっかりするのよ」

子どもに発破をかけたくて言ってしまうこれらの言葉に、一体子どもはどのような感情を抱くのでしょう。

「怖いな」
「気が重いな」
「自分にはまだ無理だ…」

行動は気持ちが整った以降に始まります。子どもの感情をよそに、1年分の期待を一気に浴びせてしまうと、「新しい環境」から逃避したくなってしまうかもしれません。

まずは、子どもの様子を見守りましょう。新しい環境に慣れ、自己発揮できるまでに要する時間は、一人ひとり、その時々で異なります。

学校という社会、塾という社会は、親にはわからない世界です。知らない世界に土足で踏み込むことなく、「子どもの世界を尊重する」こと、これがこの時期に親に求められる関わりです。焦らずに話を聞きながら、子どもの気持ちが整うことを待ちましょう。

進級・進学をチャンスにする工夫

それでも進級・進学は1年に一度限りの環境変化のタイミング。この節目をチャンスとし、好スタートを切りたいものです。節目だからこそできる工夫を3つご紹介しましょう。

1.新しいことを始める

【子どもの気持ち】
「あれができたらいいな〜、でも無理。」
「本当はやってみたいんだけど、今は難しい。」

人はできない理由を考える天才です。やってみたいことがあっても、いつも「できない理由」が頭をよぎり、行動が始まりません。ゼロをイチにするには、相当なエネルギーがかかるのです。

環境が変わるタイミングには、大きなエネルギーがあるはずです。新しいことを始める格好のチャンスと捉えましょう。「新しく始まる1年だから、何か新しいことをはじめてみない?」と、誘い出してみませんか。習い事でも塾でも、趣味でもお手伝いでも。多少の提案は良しとして、最終的に決めるのは子どもです。

そして、新しい行動を成功させるためには、ちょっとした工夫も必要です。「工夫しているね」「努力しているね」と、プロセスに焦点を当てて伝えること。できた、できないという成果ではなく、取り組み自体を認められることで、新しいチャレンジは前向きな変化につながるかもしれません。 

2.やり方を見直してみる

【私のモヤモヤ】
「うまくいかないのは努力が足りないから?」
「意思の力が弱いから成果が出ないの?」

いいえ、うまくいかない理由は、意志力の弱さや努力不足だけではありません。やり方に問題があり、うまくいかないことだってあるのです。むしろ、やり方に問題がある方が多いと感じます。

人間の意思は弱いもの。意思の力だけで何とかしようとするのではなく、適切なやり方を見つけることが突破口に。新学年がスタートする時期は、今までを見直し、新しいやり方を見つけるチャンスです。

「努力の成果をもっと上げるためには、どんなやり方がいいのかな?」と、子どもに考える機会を与えてみましょう。今を見直すためには、客観的な視点が有用です。一緒にやり方を振り返るのもおすすめです。

助言をしたい場合には、「お母さんの意見を言ってもいいかな」を加えましょう。環境が変わる節目だから、今一度やり方を見直してみる。好スタートが切れそうです。

3.完璧よりちょっといい気分を目指す

【子どもの気持ち】
「わからない、ついていけない。」
「面白くない、もうやりたくない。」

進学という節目には段差が存在し、その段差を超えられない子どもは、上記のような気持ちになってしまいます。社会的課題とも言われる「小1プロブレム」は、まさに小学校進学という段差がもたらす難しさです。

5年生と聞けば、大人は5年生としての期待をしてしまいます。しかし、5年生になったばかりの子どもは、まだ5年生になりきっていません。4年生の気分の方が大きかったりします。新学年がスタートしたばかりの子どもには完璧を求めず、ちょっといい気分になってもらう方が良いように感じます。

憧れの気持ちは、子どもの成長を大きく後押しします。「5年生になったら表情が変わってきたね」「さすが5年生は言うことが違うね」等、成長に焦点を当て、ちょっといい気分を味わわせてあげましょう。自ら前進することが楽しくなり、いつの日にか、すっかり5年生らしくなっているはずです。

「節目」に届けたい一言とは

焦ってはいけないけれども、チャンスにしたい進級・進学という節目です。子ども自らが視点を前に向け、動き出すことを後押しするために、親には何ができるのでしょう。

「どんな1年にする?」

例えば、こんな一言を投げかけてみませんか。実はこの言葉、「この1年で何をする?」という、目標設定を促す言葉とは異なるのです。

「あなたは何をするの?」と行動を問うと、子どもは「やらなければならないこと」を考え、自由度が狭まります。「勉強をする」「運動をする」等、親が気に入るような答えを返して来るかもしれません。

節目だからこそ、自由な発想を促しましょう。どんな1年を作っていきたいかを問いかけます。「ワクワクする1年にしたい」「努力する1年にしたい」等、これから始まる1年を自由にイメージできそうです。

少しだけ成長した自分を実感し、これから始まる1年に期待を寄せ、環境が変わるタイミングだからこそ新しいチャレンジをしてみたい!一つの問いかけが、1年間の過ごし方を変えて行くかもしれません。

未来はここから。皆さんはどんな1年にしますか?

執筆:江藤 真規さん
株式会社サイタコーディネーション代表。
自身も子育て経験を持つ二児の母で、お子さんは姉妹共に東大現役合格。
現在はエデュケーショナルコーチとして保護者、教職員・保育者を対象に、コーチングに関する講演・セミナー、執筆活動を行う。
文部科学省「男女共同参画推進のための学び・キャリア形成に関する有識者会議」の委員も務め、共働きに関する知見も深い。

著書
『勉強ができる子の育て方』
『合格力コーチング』
『子どもを育てる魔法の言い換え辞典』
『母親が知らないとツライ「女の子」の育て方』

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