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後から表れる過干渉の弊害〜過干渉から離れる3つのコツ〜

「子どもの時間の使い方に口出しする」
「子どもの人間関係に助言する」
「子どもの机の中やスマホを覗いてしまう」

これって、もしかしたら過干渉? 

「放っておいたら大変なことになるので、気づかせないと」  
「育ちの環境を整えるのは親の仕事でしょ?」
「悪い習慣は早めに摘み取っておかないと」

もちろん、親側には「それなりの理由」があるのですが、子どもは日々成長する主体です。行き過ぎた援助や、子どものプライバシーを踏みにじる可能性のある行為は、成長の機会を狭めてしまう過干渉かもしれません。


無意識だから気づきにくい過干渉

過干渉な親になりたい人など、どこにもいないと思います。それでも、大勢の親が時として過干渉になってしまうのは、「守ってあげなければならない」「成長させなければならない」といった強い責任感が、子育ての根底にあるからです。

強い責任感は、時として「〇〇しなければいけない」という「決めつけ」「押しつけ」を加速させてしまいます。しかも、無意識に。

「親ならこうあるべきだ」という、自分への決めつけ。
「受験生ならこうしなければならない」等の、子どもへの押しつけ。

これらは無意識に発動されるため、意識をしない限り気づくことがありません。ですから、過干渉を自覚している人は、きっと少数なのだと思います。しかし、対する子どもは?無意識だから気づきにくいのが、過干渉です。

後から表れる過干渉の弊害

親には子どもを育てる義務がありますし、成果を出すためには、「その介入」が役立つこともあるでしょう。それでも、過干渉となってしまうのは問題です。過干渉の影響は、後から弊害となって出てきてしまうからです。

過干渉によって引き起こされる弊害を、いくつか挙げてみましょう。

・子どもが自己決定しなくなる(主体的に生きられなくなる)
・自信がなくなる(自己肯定感が低くなる)
・親を超えることができなくなる(チャレンジしなくなる)
・思考することを放棄するようになる(生きる力が乏しくなる)
・他責のマインドが常態化する(他者との協同が難しくなる)

特に急速に変化する社会においては、過去の価値観に縛られることなく、柔軟に、発想力豊かに生きていくことが極めて重要。自分で人生のハンドルを握り、自分でアクセルを踏んでいく姿勢が必要です。

過干渉から離れるための3つのコツ

必要な助言や躾と干渉には、明確な境界線がありません。「この程度なら大丈夫」と、援助を量的に判断することもできません。できうることは、過干渉にならないように意識をすること。過干渉から離れるためのコツを、場面ごとに3つご紹介しましょう。

1.子どものためになっているかどうかを考える

スマホ・タブレットは1日30分までという我が家のルール。それなのに、調べ学習が終わらないからと、最近時間を超過してしまうことが多くなってきた。

小中学生には、スマホ等のトラブルも多く、親が関与することはとても重要です。特にSNSやインターネットの世界には危険がいっぱい、脳に与える影響も気になります。自分を守るという意味でも、スマホ等への向き合い方のルールは大切にしたいものです。

しかし、有無を言わさず30分で取り上げる、子どもが本当に学習をしているかどうかを常に見張る。これは、過干渉かもしれません。

「誰のためか」を考えましょう。子どもの社会を無視して、家庭だけの論理で禁止をするのは、自分都合による干渉。自分を満足させることはできても、子どものためにはなりません。

30分を超える場合には、どういう目的で利用をするのかを聴き、どの程度の時間が必要なのかも、確認しましょう。難しい問題が絡んだスマホ等との向き合い方ですが、「子どものためになっているか」を考えることで、過干渉から離れることができるかもしれません。

2.理由を共有する

中学受験生の我が子。もう6年生なので、もっと勉強しなければならないのに、未だやる気になっていない様子。このままでは、間に合わないと感じる。

親子の受験とも言われる中学受験。いつまでたっても、やる気が見えてこない我が子を見れば、不安になってしまうのも当然です。とはいえ、スケジュールから学習内容まで、全てを親の管理監督化で進めていくのは、過干渉かもしれません。

過干渉から離れるためには、子どもとの共通理解を意識しましょう。「黙って言う通りにしなさい」と強制するのではではなく、子どもが理解できるよう理由を説明、そして共有します。「残り時間は◯か月。その間にこれだけのことをやらなければならない」ことを知らせ、どうすればいいかを、一緒に考えます。その上で、親としてサポートできることを提示してみてはどうでしょう。

受験の価値は、プロセスにあり。今の状況を客観視し、受験を自分ごと化させることで、受験の価値は変わります。「理由を共有する」は、遠回りのように見えて、実はやる気を引き出すための近道です。子どもを信じて話をしてみれば、過干渉から離れられるかもしれません。

3.自己決定を日常に組み込む

自分ではなかなか決断できない我が子。何を聞いても「わからない」と言うので、結果として、いつも私が決めてしまう。

「子どもが決めないから、私が動かないと」という場面もあるでしょう。しかし、子どもの「わからない」を鵜呑みにして、全てを親が決めてしまうのは、過干渉かもしれません。

ここで意識したいのは、「わからない」の背景を探ること。そこには何らかの理由があり、その理由を見つけない限り、「決められない」は解決しないでしょう。

自信がないのかもしれません。興味を持てずにいるのかもしれません。子どもの表情を見ながら、雑談をするのがおすすめです。安心安全な場面なら、心を開くことができるはず。「わからない」の理由がわかれば、対処の仕方が見えてきます。

もう一点、「決める」という行為に慣れることも大切です。「決める」も習慣。日常生活の中に、自己決定させる場面を散りばめます。週末をどう過ごすか、今日は何時に寝るか等、小さな決定から始めましょう。

子どもが決める場面を作り、「自由に決める」「決めたことには責任を持つ」を体感させます。子どもの自己決定が日常に組み込まれれば、自ずと過干渉から離れることができそうです。

子どもには育つ力があり、その育ちを保障するのが家庭の役割です。過干渉から離れ、子どもの成長を見守っていきましょう。

執筆:江藤 真規さん
株式会社サイタコーディネーション代表。
自身も子育て経験を持つ二児の母で、お子さんは姉妹共に東大現役合格。
現在はエデュケーショナルコーチとして保護者、教職員・保育者を対象に、コーチングに関する講演・セミナー、執筆活動を行う。
文部科学省「男女共同参画推進のための学び・キャリア形成に関する有識者会議」の委員も務め、共働きに関する知見も深い。

著書
『勉強ができる子の育て方』
『合格力コーチング』
『子どもを育てる魔法の言い換え辞典』
『母親が知らないとツライ「女の子」の育て方』

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