「勉強にハマる」を実現する親のアプローチ方法
勉強の意義よりもハマるかどうか
まず、宿題をきちんとやっている段階で、素晴らしいです。筆者のもとには、「宿題をやらなくて困っている」「宿題をいい加減にやって出している」などの質問が後を絶ちません。
学校に行き、授業を受け、出された宿題をやることは当たり前のことと思われるかもしれませんが、その当たり前ができない子は世の中にたくさんいます。そのような意味では、まずお子さんを認めてあげてください。
とは言うものの、親視点では勉強に対してもっと前向きにやってもらいたいという気持ちが出てくることもわかります。しかし、親御さんも子どもの頃はそうだったと思いますが、勉強の意義について知っていたでしょうか。
「皆がやっていたから自分もやった」
「やらないと怒られるからやった」
「やるべきことを淡々とやっていただけ」
そんな理由がほとんどだと思います。ですから、子どもに勉強の意義を教えたところで、ピンときません。それよりも、子どもが勉強にハマるようになるための取り組みをした方がはるかに効果的です(ちなみに中学生や高校生には勉強の意義の話をすることはあります。すると、意味がわかってスイッチが入る子はたくさんいます)。
「子どもを勉強にハマらせることなんてできるの?」と思われるかもしれませんが、できます。
子どもが自ら行動する理由は面白いから
はじめに次のことを考えてみてください。
「子どもが親から言われなくてもやることに、どのようなことがあるでしょうか?」
子どもが好きな特定の分野を除くと、ほぼ共通して出てくることは「ゲーム」「クイズ」「なぞなぞ」です。「漫画」や「アニメ」、「動画」にハマることもありますね。
親の視点ですと、これらは遊びの領域で、勉強とは一線を画したものであるため、いかにこれらを遠ざけて勉強させようかと考えるかもしれませんが、実はこれらに勉強を自らやるヒントがあるのです。
勉強を前向きにやる子に共通したことがあります。それは「つまらない勉強を面白くする"変換装置"」が頭脳に組み込まれているということです。組み込まれているとは、生まれつきそのような構造になっているという意味です。
例えば、算数の計算はなぞなぞ的にやっており、知識問題はクイズと考え、難問は難しいパズルやなぞなぞ(コナンに出てくる難事件を解決する感覚)として捉えています。
また、習った知識を日常生活や日常会話で使っていくという特徴もあります。新しい言葉を知ると、その一部を会話で使って遊んだりしています。
理科や社会では、「なぜ?」というキーワードを使い、勝手に物事の深堀りを始めていきます。そうすると、説明を聞いて「なるほどね!」と感じ、その瞬間に学んでいます。こうして知識も記憶されていきます。
しかし、ほとんど子はこれができません。というより、できないのが普通なのです。ですから、大人が「つまらない→面白い」に変換してあげなくてはいけないのです。
特に、先生と呼ばれる立場の人は、それができないと勉強を前向きにやらない子を引き上げることは不可能です。親は先生ではないので、そこまでのことをやる必要はありませんが、子どもが小学生の頃までは、勉強は面白いものであることを認識して子どもとやりとりする必要があります。
勉強に対しての見方を変える親のアプローチ
例えば次のような想定をしてみましょう。
この場合、通常は親が買いに行きます。そしてドリルを子どもに与えて、毎日1枚ずつやるようにという指示がされます。果たしてこの対応でやるようになるか疑問です。ではどうすればいいでしょうか。
ステップ1.子どもに次のことを問いかける
「宿題だけでもいいけど、ドリルをやるとさらに伸びて、この先の勉強が楽になっていくけどやってみる?」
親から与えられたものは、つまらないものという認識を持っている子が少なくありません。しかもやらされるとなると嫌気がさします。
そこで、やるかやらないかは子どもに判断させます。しかし、ただ「やる?やらない?」という問いではありません。やると◯◯という状態になっていくというメリットをしっかりと伝えます。そのメリットを伝えても、「やらない」と子どもが判断したならばやりません。ここで無理やりやらせると子どもが勉強嫌いになっていきます。
では、永遠にそのままで良いのでしょうかと思われるかもしれませんが、子どもは「今、やりたくない」と言っても、「明日はやりたい」と変わることがあります。数週間経ってからまた同じ質問をしてみてもいいのです。少しインターバルをあけて聞いてみてください。
ステップ2.やり方を教える
ドリルを渡しただけでは、やらない子もいます。その一つの原因としては、やり方がわからないということです。
でも、親御さんの中には「やり方を教えているのにやらない」という人もいます。やり方とは「1日1枚やる、終わったら答え合わせして、間違いは直すように」ではありません。そんなことは、子どもはわかっています。
子どもが困っているのは
「わからない問題が出てきたときに、時間がかかってやりたくなくなる」
「答え合わせをしても、ただ赤ペンで書き写すだけで意味がない」
「計算ミスを親に指摘されて嫌気がさす」
などです。
これらについて、具体的にガイドラインを示す必要があります。それが「やり方」です。
例えば
「わからない問題が出てきて、15秒手が止まったら次に進む」
「答えを見てわからない問題は付箋を貼っておき、あとで親に聞く」
「計算ミスの問題はできた問題として処理し、やり直しする必要なし」
などです。
このようなことを子どもは知りたいのです。それがなく、ただやりなさいでは、子どもが困ってしまいます。
ステップ3.伸びていることを「見える化」する
毎日、単純な作業をやっていると、そのうちマンネリ化します。そこで、今日やったことで自分が伸びていることを実感する必要があります。それを筆者は「見える化」と呼んでいます。
例えば、ドリルの枚数をカウントして、グラフにしたり、進捗をシールにしたりします。終わった部分を目次から赤ペンで消していくことも有効的です。
また、筆者が開発した「子ども手帳」を使ってもらっても結構です。全国で3万5千人の子どもたちが使用していますが、これはやるべきことを書いて、終わったら消し、ポイントにするというものです。ポイントの数字が「進捗の見える化」です。このように、自分が伸びていることを実感できなければ、人はなかなかやる気が出るものではありません。
子どもは本来、伸びたいという気持ちを持っています。ただ、そこに至る方法を知らないだけです。単なる声かけだけでは子どもは動きません。ぜひ、以上の3つのステップに沿って、対応してみてください。
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