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原因は親の◯◯?地方の教育格差

【質問】
現在、北海道に住んでいて、都会との情報格差、地域格差によって子どもの勉強や進学が不利になるのではないかと懸念しています。このようなハンデをどう乗り越えればいいでしょうか?

山城さん(仮名)

地域による情報格差はあるのか

地域によって情報格差が起こり、それが勉強面でも影響を与えるのではないかと懸念される気持ち、よくわかります。どこに住んでいるかということは、重要なファクターの一つだからです。しかし、それは一昔前までの話です。

今や情報はネットを通じてスマホで簡単に誰でも等しく得られる時代です。さらに、コロナ禍で急速に伸びたYouTube視聴も、以前は大人たちが眉を潜めていたツールでしたが、現在では多くの人が当たり前のようにYouTubeを視聴し、さらに配信者が激増し、かつて眉を潜めていた人たちまで配信している時代です。

そのためコンテンツの量と質が上がり、無料で動画で学べることができる時代となったことは誰しも認めざるを得ないことでしょう。また、安価に学ぶことができる学習動画コンテンツもたくさん出てきました。

つまり、情報格差は地域格差によって生じるものではなく、デバイスによって生じるものになっています。しかし、そのデバイスも、小学生で6割以上、中学生で9割近く、高校生でほぼ100%がスマホや携帯を所持している現在、情報を得るための機会不平等は全国的にほぼないと言って過言ではありません。

教育格差の原因は◯◯格差

ところが、それでも教育格差は生じます。それは情報格差によって生まれたものではなく、意識格差にあると筆者は考えています。

意識格差とは、教育に対する態度や姿勢の差です。もちろん、行き過ぎた教育への加熱ぶりは逆に弊害になるため良くありませんが、ある程度、子どもの能力を伸ばすことや、適切な学習環境を整えるための教育意識はないよりはあった方が良いことでしょう。

その意味では、都市に住んでいると、嫌でも教育情報が入ってくるため意識が高い人が多いと思いがちです。学校内の情報やママ友、学習塾による情報提供など様々なインプットルートがあるため、そのようなイメージを持つと思います。

では、次のようなデータを見て、どのように感じるでしょうか。

中3と小6が毎年受ける文科省実施の全国学力・学習状況調査があります。令和5年度では、北海道は中3の国語で神奈川とほぼ同じ、数学と英語では大阪とほぼ同じ得点率です。小学校では国語が神奈川と同じ、算数は愛知とほぼ同じです。北陸エリアの高さは目立つものの、都会だから、地方だからといって不利な状況になっているとは言い難いものがあります。

つまり、都会であれ、地方であれ、「家庭がどのような方針で子どもの教育を考えているか」によって異なるということを意味します。この意識格差が、教育格差の実態だと思います。

格差を生まないために親が意識したい3つのこと

そこで、山城さんには、次の3つについて意識することをお勧めします。

1.学校の授業をベースに確実に学習していく

どのような所に住んでいても、学校には通っています。どの学校でも文科省検定教科書が使われており、それに基づいてテストも作られています。まずは、これをしっかりと進めていくことが大切になります。ここがブレてしまうと本末転倒になります。日本の教育カリキュラムはしっかりとできています。それをこなしていくだけでも、かなりの力がつくことは間違いありません。

私立中学に進学している子の割合は全国で7.7%であるため、日本の9割以上の子が公立中学に進学しています。そうなるとほとんどの子は公立高校を受験すると思います。そうなると内申書が重要になってきます。これは学校のテストや授業に関わる態度などによって評価されますが、学校の授業を大切にしている子はほぼ例外なく内申点は取ることができます。

仮に学校のレベルが都会よりも低いとしても関係ありません。教科書をマスターしているかどうかが問題なのです。つまり、地域格差は関係ないと考えてみてください。

2.さらに1つ圧倒的な得意科目を作ってしまう

そのうえで、得意科目を1つ作ってしまうのがよいでしょう。もちろん実技科目でも構いません。その代わり、圧倒的1番を作ってしまうのです。それが主要教科に入っていれば、その科目をさらに伸ばすために塾に行くことや、動画で学ぶこともありです。

これを長所伸展法と言い、長所をさらに伸ばすとう方法です。人材育成の最大原則ですが、これを科目にも適用させていきます。すると2つのことが起こります。

一つは、「自信がつく」ということです。自己効力感が高まっていき、意欲がさらに高まります。

例えば、国語が圧倒的にできる状態を想像してみてください。それだけで何か安心できるような気持ちが湧き出てきませんか。体育でもいいのです。体育の中のある種目だけでもいいのです。

とにかく◯◯は圧倒的に優れている状態にすると心理的メリットがあります。これは、科目を絞って、特にその部分に重点的に時間を使っていけば難しいことではありません。センスや能力はあまり関係ありませんが、できれば一番得意と思われる科目を対象にするといいでしょう。

もう一つは、「学習の転移」が起こることです。学習の転移とは、以前の学習が別の内容についての学習に影響を与えることを言います。

つまり、得意科目によって学びの型ができることで、それが他教科にプラスの影響を与えるということです。すべての科目を同時に満遍なく上げることは至難の技です。実際は、このように学習の転移を利用して上げていきます。

3.将来への希望を与える

「何のために勉強しているのかわからない」という子がいます。もし本当に勉強に意味がなければ、とっくに絶滅しているはずです。絶滅せず、絶滅危惧種にもならずに、全世界で似たような科目を少なくとも150年以上もやっているわけです。意味がないはずありません。

しかし子どもたちには、現在の面白くもない活動(勉強)と将来が結びついて見えないため、そう考えるのも無理はありません。本来は指導者たちが、これを繋げてあげる必要がありますが、それも難しいかもしれません。

中3になってようやく高校受験というものが意識され、今の勉強は受験と繋がっていると認識してはじめて、勉強にスイッチが入る子もいます。しかし、勉強はそんな近未来のためではなく、もっと本質的能力開発に繋がっているのですが、おそらくそれは説明が難しいでしょう。

そこで、子どもには、世の中には様々な仕事があることを伝えます。特に今の時代はどのような分野に進んでもITが絡んでくると言います。さらに近年、すべての分野にAIが入ることは確実視されています。

そうなると、現代の子たちが見ている職業以外の職業が次々誕生することになることは容易に想像できます。そのように未来に視点を向けてあげると、子どもはそのために今の勉強が必要なのではないかと予測します。

ですから親は、「将来のためにも勉強は大切よ」と言う必要はありません。将来への希望を感じさせることだけに留めておきます。ここで勉強の話を持ち出すと、子どもは、「親は勉強させたいために、こんな話をしているんだな」と思ってしまいます。

最後に

以上、3つの点についてお話してきました。まとめると、地域格差によって教育格差が生まれるのではなく、意識格差によって生まれるということです。その意識格差を出さないためには「目前のタスクをコツコツこなすこと」「将来への希望を感じさせること」です。ぜひ、試されてみてください。

執筆:石田 勝紀さん
20歳で起業し学習塾を作って以来、4000人以上の子どもたちを直接指導し教育に35年以上携わる。35歳で東京の私立中高一貫校の経営者として生徒数1600人の学校の立て直しを行う。
東洋経済オンラインの連載執筆は230回以上、カフェスタイル勉強会「Mama Café」を毎年全国で130回以上実施。音声配信Voicyで子育て・教育相談の回答を1200日連続配信している。TV、新聞、雑誌などメディア出演多数。書籍は25冊出版。

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