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トップ校に合格する子の親に共通する3つの特徴

【質問】
公立高校を受験する予定の13歳の子どもがいます。できれば上位の高校に行ってほしいとは思っていますが、親ができることはあるでしょうか。

山村さん(仮名)

子どもの高校受験を支える親の心得

義務教育課程が終わると、たいていは高校に進学します。高校の進学率は100%と言っても過言ではないほど、ほとんどの子どもたちが進学します。

すると、そこには受験が存在します。中学受験を経験したことのない子にとっては、人生で初めての受験となります。13歳であれば「受験はまだ先」ということで、本人はあまり意識していないことでしょうし、今から強く意識する必要があるとも思えません。子どもたちには中学校生活を大いに楽しんでもらいたいと思います。

しかし、確実にやってくる高校受験、中3になってから慌てても、内申書という名の学校成績によって、ある程度は受験校が決められてしまうこともあるため、できれば早くから子どもに上位意識を持ってもらいたいという親御さんの気持ちもわかります。

筆者は、これまで4,500人ほどの小中高生を指導してきましたが、大半は公立の学校の通う生徒、児童たちでした。小学生の頃から指導してきた子がその後、トップ高校や上位校に進学する過程を見てきました。また、保護者面談を重ねてきた中で、そのような子の親御さんにもある一定の傾向があることに気づきました。

ただし、ここで一つお話しておかなくてはなりません。それは、トップ高校、上位高校に進学することが決して「人生の勝ち組」というわけではないということです。

一昔前に比べれば、随分と世の中の考え方が変化してきましたが、それでもまだ難関中学、難関高校、難関大学に合格することを是として、まるでそれが人生の勝利者であると勘違いしてしまう家庭もあるようです。

もちろん、子ども自身が目標設定し、自分の目的とすることに向かうために、そのような学校を目指すことは全く問題ありません。しかし、親が子どもの適性を無視して、勉強を無理強いすると悲劇を生み出します。その子が持って生まれた能力や適性を発揮できたときに、はじめて幸せが訪れます。

まずはこの点をご理解いただいた上で、お話を進めます。親にできることは次の3つのことです。

1.子どもの興味関心を尊重する
2.目先のこと(小さな目標)に向けてコツコツやることを推奨する
3.子どもの自己肯定感を満たす

この3つの中に、親が「子どもにいかに勉強をさせるか」「勉強するようになる魔法の言葉」は入っていません。

なぜかと言いますと、親による勉強の直接関与は、とくに思春期の子どもは嫌がり、親の意図する方向とは逆に進んでしまうからです。

ですから、そのような単刀直入な手段は取りません。あくまでも、上位思考や伸ばしたいという気持ちは、子どもの自主的な志から生まれるものであり、人から求められたり、説得させられたりして生まれるものではないのです。

それでは上記の3つについて解説していきます。

1.子どもの興味関心を尊重する

子どもの興味関心を尊重することは、当たり前のことであり、当然やっていると思われる人も少なくないと思います。

しかし、例えば次のような言い方はどうでしょうか。

「サッカー楽しそうね。サッカーも良いけど、勉強もしっかりやるようにね」

この表現は、子どもの興味関心を尊重していると言えるでしょうか。言われた側の気持ちを考えればわかりますが、逆接の接続詞の後ろが最も強調される部分です。つまり、子どもに伝わっているのは、「勉強しなさい」という内容なのです。このような構文の使い方からは尊重は感じません。

ではどのように伝えればいいでしょうか。

「サッカー楽しそうね。次の試合も応援しに行くね」

これが尊重です。応援やサポ―トすることを尊重すると言います。勉強するようになったらサッカー応援するという交換条件もありません。ただ単に、応援します。

尊重されるとどうなると思いますか。そのような人のことを信頼するようになります。すると、仮に勉強の話をしても、親子関係が荒れることはありません。この信頼を作るためには、子どもの興味関心を尊重してみてください。

2.目先のこと(小さな目標)に向けてコツコツやることを推奨する

高校受験は内申点と入試が主な評価として合否が決まります。入試はまだ先なので、まず大切なことは目先の定期テストです。これを確実に得点していきます。この積み重ねが、やがてやってくる入試の基礎を作っていきます。

ですから、中1、中2の定期テストで得点する勉強法をマスターしていくことを主眼とします。なお、中学生で勉強法を知らない子たちはたくさんいます。トップ校に合格する子たちは、元々頭が良い子というよりも、正しい勉強法を知っている子たちです。多くの中学生たちは、勉強法を知らないまま、やり続け、やっても点数がとれないために、そのうち諦めてしまうのです。

そのため、早い段階で方法を知ることをおすすめします。なお、勉強法については学校の先生に聞きに行く、塾の先生に聞きに行くなどして、自ら動かないと知ることはできないと思います。

学校で定期テスト前に勉強法を教えてくれる先生はほぼ皆無でしょう。しかし、聞きに行けば教えてくれると思います。また、筆者は「中学生の勉強法2.0(新興出版社啓林館)」という中学生向けにわかりやすく書いた本を出版しているので、本を参考にしていただいても結構です。

3.子どもの自己肯定感を満たす

子どもの自己肯定感はとても大切です。自己肯定感とは、短所も含めて自らを肯定的に認めることができる気持ちのことですが、それだと向上心が出てこないのではと思われるかもしれませんね。

しかし、実際は逆で、向上心が出てくるのです。自己肯定感の中でも重要な「承認」というキーワードがあります。筆者は具体的に、「いいね」「さすがだね」「すごいね」という3つの言葉の声かけを推奨しています。

マズローの欲求五段階説という学説があります。第1段階が満たされると第2段階へと欲求がでてくるというものです。

1.生理的欲求
2.安全の欲求
3.社会的欲求
4.承認欲求
5.自己実現の欲求

これを見ると、承認欲求が満たされて初めて、自己実現の欲求が出てくることになっています。ということは、認められたという感覚が出てこないと、「自分はこうしたい、ああしたい」という目標も向上心も出てこないということになります。

子どもを認めず、自己肯定感を満たさないで、ただ向上心をもたせる、高い目標を持ちなさいと言っても、それは無理という話なのです。

最後に

このように、親ができることは主に、子どもの心の状態を安定させていくことと、目先のことをコツコツ少しずつやれるようにサポートしていくことになります。

すると、やがて子どもは自分なりに目標設定し、やりたいことを見つけるようになっていきます。その結果、それが上位の高校受験であれば、それはそれで良いし、別の志が立って、その道に進みたいということになればそれはそれで成功なのです。

上位校ありきではありません。その子の本来持っている才能や能力が開いていくことが大切で、それによって得られた結果はすべて適切な結果なのです。ぜひ、そのような気持ちでお子さんと接してみてくださいね。

執筆:石田 勝紀さん
20歳で起業し学習塾を作って以来、4000人以上の子どもたちを直接指導し教育に35年以上携わる。35歳で東京の私立中高一貫校の経営者として生徒数1600人の学校の立て直しを行う。
東洋経済オンラインの連載執筆は230回以上、カフェスタイル勉強会「Mama Café」を毎年全国で130回以上実施。音声配信Voicyで子育て・教育相談の回答を1200日連続配信している。TV、新聞、雑誌などメディア出演多数。書籍は25冊出版。

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