私の一言は大丈夫?親の「思い込み」による子どもへの影響とは
子どものために届けた「あなたにはこっちの方が合っている」という助言。本当に「そっち」の方が良いのでしょうか。
不安だと言う子どもに伝えた「大丈夫よ」という言葉。子どもはどんな気持ちで聞いているのでしょうか。
良かれと思って発しているその一言が、もしも子どもの可能性を狭めていたとしたら?そんなつもりはなかったのに、自分の言葉で子どもを傷つけているとしたら?
親から子への言葉は、「思い込み」により発動されることがよくあります。「思い込み」自体は悪いものではありませんが、その「思い込み」による判断や言動が子どもを傷つけているとするなら、対処の必要性が出てきます。
自分の中に潜む「思い込み」について深めていきましょう。
「思い込み」が子どもに与える影響
しかし、その塾に子どもが合っていなかったとしたら?子どもの「嫌だ」という声が聞こえなくなっていたとしたら?
しかし、子どもの興味が女子校になかったとしたら?本当に行きたい学校を、親に言えなくなっていたとしたら?
しかし、点数にはつながらなくても、算数の世界に魅力を感じていたとしたら?「算数が苦手」と言われることで、本当に算数が苦手となってしまっていたら?
これらの事例は、親の「思い込み」を起点とした発言です。どれも子どものために、良かれと思っての語りかけです。しかし、もしかすると子どもの可能性を狭める結果を招いているかもしれません。
私たちには、「思い込み」があります。
経験則による判断。
「皆がそうだから」という傾向による判断。
「この子は◯◯だから」という決めつけ。
これらは、「思い込み」を引き起こす要因です。こういった「思い込み」は、時として子どもにネガティブな影響を与えてしまいます。しかも「思い込み」は無意識ゆえに、なかなか自分では気づくことができません。
子どもにとって親は大きな存在であり、何気ない一言をしっかり聞いています。そして、影響を受けています。子どもの可能性を狭めないためにも、自分には「思い込み」がありうること、そしてその「思い込み」が子どもに影響を与えていることに気づく必要がありそうです。
子どもは日々成長しています。昨日まで嫌がっていたのに、今日は「やってみよう」と思うかもしれません。
捉え方は人それぞれです。皆が「そうだ」と感じていても、この子は「違う」と感じるのかもしれません。
親子であっても、別人格をもった別の人間。「この子のことなら私は全て知っている」という考えは、疑ってかかった方が良いのだと思います。
「思い込み」によるネガティブな影響を防ぐ3つの対処
誰にでもありうる「思い込み」。無意識ゆえに、なくすことはできません。大切なのは、「思い込み」によるネガティブな影響を防ぐこと。3つの対処をご紹介しましょう。
1.「思い込み」を意識する
最初の一歩は「思い込み」を意識することです。「私にもあるかもしれない」を前提とし、「これって私の思い込み?」と、子どもに対する見方や言動を振り返る習慣を作ってみませんか。
「私の見方は事実とは違っていた」「この言葉は自分の思い込みによるものだった」等、自分の「思い込み」に気づくことができるかもしれません。
なぜ、自分はそういう「思い込み」をしていたのか、その理由を探るためには、認知バイアスに対する知識が役立ちます。以下に代表的な認知バイアス例を紹介します。
ステレオタイプ:(性別、学歴、世代など)ある属性に対する先入観や固定観念で、「みんなそうだ」と思い込む傾向
確証バイアス:自分の考えを支持する情報や、自分が期待する情報だけを集めたくなる傾向
同調バイアス:「周りに合わせたほうが良い」等、周りの言動にあわせたくなる傾向
「この学校しかない!と思っていたのは、私がステレオタイプで物事を判断していたからだ」と気づけば、見方が広がり、もっと「この子に合った環境」という視点で、学校探しができるかもしれません。
2.決めつけない・押しつけない
私たちは、実際はさておき、このような決めつけや押しつけをよく行います。これらはもちろん、「子どものため」の言動です。
しかし、親の決めつけは、子どもの自由な発想を妨げてしまう可能性があります。押し付けられれば、面白さを感じなくなってしまうかもしれません。
「思い込み」は、「決めつけ」や「押しつけ」の言動に表れやすいとされています。「本当にそうなのか」と自分に問いかけてみましょう。「この子はどうなのか」という視点を忘れないようにしましょう。不要な「決めつけ」や「押しつけ」から離れることができれば、子どもの可能性は広がります。
3.サインを手がかりに対応する
受け止め方は人それぞれ。子どもがどう受け止めているかを知ることは、「思い込み」によるネガティブな影響を防ぐ上で重要です。
しかし、子どもは自分の思いをすべて言葉にするわけではありません。コミュニケーションには、言語、非言語があるため、「それは嫌だ」と思っていても、言葉にしない場合もあるのです。「言わなかったから」「聞いていないから」では、片付けられないということです。
言葉のみならず、サインを手がかりに、子どもの気持ちに近づいてみましょう。サインとは、例えば表情や態度のこと。食欲や睡眠等に表れることもあるかもしれません。子どもが示すサインにまで意識を向けることで、子どもがどう受け止めているかに気づくことができそうです。
もちろんサインに気づいたら、対応を怠らずに。自分の思いとのズレがあるなら、子どもの気持ちを丁寧に聴きましょう。自分の考えを伝えたいなら、子どもの気持ちを確認しながら、わかりやすく伝えます。たとえ子どもであっても、自分とは異なる他人です。他人の気持ちは、そもそもわからないものなのです。だからこそ、対話をしてみることが大切です。
子どもは日々、ぐんぐん成長しています。昨日まではできなかったことが、今日はできるかもしれません。子どもは一人ひとり違います。たとえ100人がそうであっても、この子は違うかもしれません。「思い込み」は誰にでもありうることを理解し、だからこそ、一人ひとりの今ここの気持ちを汲み取っていきたいものです。
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