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脱・丸暗記!専門家が教える「漢字嫌い」を克服する練習方法3選

「我が子が漢字の練習をしない」という声、多くの親御さんから寄せられます。

実際、漢字の学習は多くの子どもにとって難しく、つまずきやすい分野となっています。子どもたちにとって、漢字は一度覚えても忘れやすく、テストのためだけに勉強するものと思われがちです。何度も書いて覚える手順が面倒で、小学校の頃に嫌いになってしまった子もいるでしょう。

そんな取り組みにくい内容だからこそ、丸暗記だけに頼らず、ストレスを減らし、正しい方法でしっかりとトレーニングをしていくことが大切です。

今回は、漢字を身に付けるための具体的なトレーニング方法を紹介します。最初は面倒がるお子さんも多いかもしれませんが、進めるにつれて負担も軽くなっていきます。ぜひ、少しずつでも取り組めるように促してあげてください。


「漢字の力」の影響範囲は非常に広い

漢字の力は、実は多くの学習範囲に影響を及ぼします。漢字が苦手なまま放置すると、漢字の書き取り問題が解けないだけでなく、国語の学習全般にまで影響が及ぶ可能性があります。

漢字の力が弱いと、問題文の言葉が読めず、文章の意味を理解できない場合があります。結果として、読解練習の効率が下がり、語彙力も高まらないという負のスパイラルに陥る子もいます。

漢字の読み書きが苦手ということは、学習において触れる文章における「情報のインプット・アウトプット」の量と質が下がることを意味します。逆に、漢字が得意な子は、文章の内容に集中することができ、学年が上がるにつれて増していく文章の抽象度や難易度にも対応しやすくなります。

「読み書きについて心配する必要がない」というのは大きなアドバンテージとなります。

また、漢字は日本語の土台を支える重要な要素であり、正しく理解し、使いこなすことは、読む・書く能力だけでなく、思考力や表現力の向上にもつながります。

例えば、「木」と「森」や「海」と「湖」のように、漢字一字が変わるだけで表現するイメージが大きく変わることがあります。このような微妙な違いを捉えることができれば、文章を読むときも書くときにもイメージが豊かになり、内容をより深く理解したり、自分の思いや考えを的確に伝えたりする力が養われるでしょう。

漢字のおすすめトレーニング方法

では、どのように練習すれば漢字の力を高められるのでしょうか。ここからは、具体的なトレーニング方法を紹介します。

最初は少し手間がかかると感じるかもしれませんが、慣れればストレスなくできるようになります。ぜひ、お子さんに伝えてあげてください。


1.部首を含めた「文字の構成」を言語化する

漢字の学習において、部首を含めた「文字の構成」を言語化することは、理解を深めるために効果的です。漢字は部首と他の要素から成り立ち、特に複雑な漢字は複数の簡単な漢字や要素の組み合わせで構成されています。

例えば、「聞」という漢字は、部首である「門」と「耳」という漢字の組み合わせであり、「門の中で耳を使う」という具体的なイメージを持つことができます。

このように、部首や構成要素を言語化し、イメージを膨らませることで、単なる暗記ではなく、漢字の構造を理解しながら学習することが可能です。この方法で取り組むと、1文字1文字を別々に丸暗記するよりもずっと効率的に記憶の定着を促進し、深い理解につなげることができます。

書きながら練習する際も、「左に…を書いて、右に…を書く」と口に出しながら取り組んでみてください。慣れるまでは親御さんがお子さんと一緒に確認してあげるのもよいですね。


2.覚える漢字を使った言葉の意味を、既知の言葉で置き換える

覚える漢字を使った言葉の意味を、既知の言葉で置き換えると、理解と記憶の定着がしやすくなります。

例えば、「改」という漢字を学習するとき、すでに知っている「新しくする」や「変える」という言葉に置き換えることで、意味が具体化しやすくなります。

既知の言葉と結びつけることで、「言葉の意味を説明する文の丸暗記」を避け、実際のイメージとして捉えるのがおすすめです。こうすることで、日常の意味に関連づけられ、記憶に残りやすくなります。

この方法は、漢字を使った言葉の理解を深め、単語のニュアンスを捉える助けにもなります。さらに、既知の言葉との関連を意識することで、新たに覚えた漢字が自然と使えるようになり、実践的な日本語運用能力の向上にも役立ちます。

親御さんが口頭で説明できる場合は、「正確な意味や定義」だけでなく「◯◯のような光景だよ」と具体例を交えて説明してあげるとよいでしょう。


3.声に出し、まずは「読み」と「意味」に集中して身に付ける

もし「漢字を書く」ことに苦手意識を持ってしまっている子どもには、まず「読み」と「意味」に集中して身につけるのも効果的です。書き順や形状に気を取られるよりも、声に出して読み、その意味をしっかり理解することから始めるのが良いでしょう。

声に出すことで、脳に音声と意味が同時に伝わり、記憶の定着が促進されます。例えば、「勇」という漢字に出会ったら、「ゆう」と読み、「勇気」という意味を声に出して確認します。このプロセスを繰り返すことで、漢字が持つ音と意味が自然に結びつき、効率的に身につけることができます。形に注意を払うのはその後で構いません。

この方法は、特に小学校時代にドリルなどで「とにかく何度も書かされる」といった学習方法で漢字学習が嫌いになってしまった子に有効です。まずは、読みと意味に集中し、音と内容の理解を優先することで、漢字学習の基礎を築くことが重要です。


まとめ

今回は、漢字のトレーニング方法を紹介しました。漢字学習では、意味や構成に焦点を当て、イメージと結びつけることが大切です。ただの記号として記憶するだけではなく、理解を深めながら効率的に覚えていけるとよいでしょう。

執筆:杉本 啓太さん
家庭教師/家庭学習コンサルタント。
灘中高、東京大学を経て、外資コンサルティングファームに勤務。戦略コンサルタントと並行して、家庭教師として活動。その後、家庭教師として独立。2023年家庭学習コンサルティングを手掛ける株式会社ORA-Trio設立。
プロ家庭教師として、120人以上を指導。学科指導に加え、学習の計画策定・生徒の気質や性格面・親の関わり方など、抽象的な課題の対策立案・解決を得意とする。また、模試結果から子どもの癖・改善点を分析、アドバイスを行うサービスを展開。これまで250本以上の分析を実施し、成績向上・志望校合格に貢献する。

執筆・メディア出演
マイナビ「中学受験ナビ」連載
NewsPicks ビジネストーク番組OFFRECO など

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