中学生が知っておくべき定期テストの真実
中学校に入ると、子どもたちの前に立ちはだかるのが定期テストです。小学校で行われていたテストとは大きく違うため、戸惑う生徒、親御さんも少なくありません。
さらに、定期テストの結果は、高校入試の際に重視される内申点にも大きく影響します。 そのため、早いうちから「定期テストにどう対応していくか?」という心構えを親子で共有しておくことは大切です。
充実した中学校生活を過ごすためにも、また、高校進学の選択の幅を広げるためにも、 知っておきたい定期テストについて、詳しく解説します。
小学校のテストとは大きく違う!定期テストが大変な4つの理由
まず、中学校の定期テストが小学校のテストとどう違うのかを知っておきましょう。主に4つの理由から、定期テストは大変なのです。
1.1年に5回も実施される!
3学期制をとっている多くの公立中学校では、次のようなスケジュールで定期テストが実施されます。
多い学校だと年間5回も実施されるわけですね。
中学生になると部活動も始まるので、子どもたちはかなり忙しい毎日を過ごします。そんな生活の中での定期テストですから、子どもたちは大変です。
2.教科の数が多い!
中間テストは、国語・数学・英語・理科・社会の5教科で実施します。ほとんどの中学校が2日間に分けますが、まれに5教科すべてを1日で実施する中学校もあります。
期末テストは、5教科に加えて、美術、音楽、保健・体育、技術・家庭の実技教科もあります。なんと合計9教科。これを3日間で行う学校が多いです。
小学校のころに比べて、勉強しなければならない教科の数が一気に増えます。これだけでもかなり大変ですよね。
3.45~50分間、まるまるテストをおこなう!
小学校のテストは、授業中に行うことが多いですよね。時間も15分とか20分程度で、それほど長くはありません。
ところが、中学校の定期テストは、1教科あたり45~50分間。もちろん、問題の量も多く、内容も難しくなります。
みんな無言で取り組むので真剣そのもの。ピリッと緊張した雰囲気です。ですから、1教科だけでも、心身ともにドッシリと疲れてしまいます。想像しただけでも大変ですよね。
4.出題範囲が広い!
定期テストはどこから問題を出すのか、あらかじめ範囲が指定されます。「数学は教科書の◯ページから◯ページ」といったようにですね。
たとえば、1学期中間テストだと、4月の最初の授業から5月上旬~中旬のテストの直前の授業で習ったところまでとなります。
つまり、約1か月の間で勉強した全部の内容が出題される可能性があるということです。
ちなみに、1学期中間テストを行わない学校もまれにあります。「お、ラッキー!」と思うかもしれませんね。でも、実はそうとも言い切れないのです。
中間テストがないということは、その分、期末テストでの範囲が広がります。ということは、4月の頭から6月下旬までの約3か月分の内容をしっかり勉強しないといけないわけです。
そう考えると、中間テストがないというのは怖い面もありますね。このように、出題範囲が広いことも定期テストが大変な理由の1つです。
こうしたことから、入学したばかりの中学生だけでなく、3年生になっても、毎回定期テストに苦戦する中学生は非常に多いのです。
定期テストの点数は高校入試を左右する内申点に直結
ここまでで定期テストがどのくらい大変なのかはイメージできたでしょうか?
実はこの定期テストの結果は、内申点と大きく関わっています。そして、この内申点が高校受験を大きく左右するのです。
内申点というキーワードについても少し説明しますね。
正式名称は「調査書点」といいます。昔は生徒・保護者が内容を知ることはできませんでした。そこで、中学校から高校に「内々で申告する書類」ということで「内申書」と呼ばれていました。
そのなごりで、情報公開ができるようになった現在でも、内申書と呼ばれることが多いようです。
さて、この内申書には生徒についてさまざまなことが記載されています。
3年間での出席・欠席・遅刻の回数、部活動や委員会活動などの記録、そして、中学校3年間での成績などです。
成績というのは、各学期の終わりに配られる通知表に書かれた5段階評価のことです。これを「評定点」といいます。3年間の成績で内申書に書かれる得点ということで、「内申点」とも呼ばれます。
ちょっとややこしくなってきましたね。まずは「内申点=調査書点=評定点」と捉えてもらって大丈夫ですよ。
ここから先は、次のような意味で使い分けていきます。
この内申点、主に次の2つの面で高校入試に影響します。
まず第1に、公立高校入試では内申点と学力試験の得点で合格・不合格を判定します。
ということは、入試当日の結果が良くても、内申点が低い子は合格へのハードルが上がります。内申点の高い子に逆転されて、不合格になることもあるのです。
第2に、内申点は私立高校での推薦入試に関わります。
ほとんどの私立高校では、推薦入試を受けるために、内申点の数値を基準にしています。たとえば、「3教科合計13かつ9教科合計38」のようにです。
その基準にたった1でも足りないとどうなるか?これはもう、推薦入試を受けられません。スタートラインに立つことすらできないのです。
このように、内申点が高校入試に与える影響は非常に大きいのです。
そして、各学期の評定点は、定期テストの得点によって決まってきます。正式に決められているものではありませんが、おおむね、次のような対応があります。
もちろん、テストだけですべてが決まるわけではありません。実際には、提出物の取り組みや授業態度なども踏まえて、総合的に評価されます。
ですから、たとえ定期テストが20点未満でも、提出物の取り組みや授業態度次第では、評定点は2がつくこともあります。
しかし、評定点で5をとるためには、やはり定期テストで90点以上は取る必要があります。ここで悪い点数を取ってしまうと、4止まりになる可能性が高いのです。
公立高校の場合は、どの時点での評定点を最終的に高校入試で用いる内申点とするかは、地域ごとに異なります。
1・2年生時の比率を低めにして、3年間全体での評定点を内申点とする地域もあります。一方、2年2学期以降の評定点だけを見るという地域もあります。
また、内申点と学力試験の得点比率をどのくらいにするかも、地域ごとに異なります。
このあたりは、お住まいの地域の制度を早くから知っておくことをおすすめします。
ただ、共通して言えるのは、定期テストの点数が内申点につながる以上、高校入試を大きく左右する、ということです。それは、どの地域に住んでいようと、公立であろうと私立であろうと変わりません。
学力試験で高得点が取れる実力があっても、内申点が低いために、泣く泣く志望校を変更せざるを得なかった、そんな子も少なくありません。
こんなふうに、定期テストの結果によって、高校の選択の幅が広くも狭くもなるのです。
さすがに、中学校に入学した時点から高校入試を強く意識して取り組むことが絶対必要、とまでは言いません。
ですが、まずは毎回の定期テストに向けて全力を尽くすこと、その積み重ねが結局は高校受験につながります。そこで養われる継続的な学習習慣は、大学入試にも大きく影響します。
ぜひ、親子ともども、そのような心構えで、定期テストに臨んでもらえたらと思います。
まとめ
今回は定期テストの大変さや高校受験への影響についてお伝えしました。
今後、定期テストの勉強法や、内申点アップのための取り組みについてもお伝えしていきたいと思います。 読んでいただければ幸いです。最後まで読んでくださり、ありがとうございました。