勉強せずにゲームと動画ばかりの子に親はどうすれば…?
ゲーム、スマホに関する相談、悩みは後を絶ちません。
筆者はこれまで7年間で1万人以上のママさんから対面で相談を受け、回答してきましたが、その中でも、「ゲームばかり」「動画(スマホやタブレット)ばかり」というフレーズをたくさん聞いてきました。
小学生はゲームが、中学生になるとそこにスマホが入り込み、もはや親のコントロールが効かないという状況にある家庭も多々あるようです。
一方で、興味深いのは、子どもの学力や成績が良いとそのような相談はありません。
では、学力が高い子はゲームをやらないのかというとそうではありません。結構やっています。
つまり、勉強さえできればゲームに関してはそれほど問題ではないという親の深層心理が垣間見られるわけです。
ゲームやスマホを制限するべきなのか
筆者が主宰している「カフェスタイル勉強会『Mama Café』」でもゲーム時間を制限させたいという相談が頻繁にあります。
しかし、筆者は次のように答えます。
「もちろん、ゲーム中毒になるような状況は好ましくありませんが、ゲーム時間を減らしたところで勉強するようにはなりませんよ。減らすよりも守ることが出来るルールを作っていくことで親子関係の安定を図ることが大切ではないでしょうか。」
ゲーム時間と学力には相関関係があり、データでは学力が高い子はゲーム時間が短いことが示されています。このデータを見て、「ではゲーム時間を減らせば、勉強する」と誤解してしまうのです。
もともと勉強しない子はゲーム時間を減らしたところで、別のことをして時間を潰すだけで、勉強はしません。
ですから、ゲームやスマホの制限方法と勉強するようになるための方法は全く別物で無関係なのです。
ルールは何のためなのかを考える
そこで菊池さんには、ゲーム、スマホの正しいルール作りについてまずはお話します。
なぜ勉強するようになる方法ではなく、ルール決めについてなのか。
その理由については後述します。
多くの家庭ではルールが決められています。
筆者の調査では75%の家庭がルールを決めていました。
そのルール内で楽しむ分には誰もイライラせず平和な家庭となります。
しかし、ルールを守らない子も少なくありません。
そもそもルールは何のために作ると思いますか?
「子どものため」と言われる方がいるかもしれませんね。
もちろん目が悪くなるから、中毒になる前に手を打つ必要があるからという背景があるため、一概にそれが間違っているとは思いませんが、実際は、「親のため」にルールを作るのです。
なぜ親のため?と思うかもしれません。
もし子どもがゲームやスマホをいくらやっても親が気にならないのであれば、そもそもルールを決める必要はないですよね。
しかし、実際は、子どものゲームやっている様子や動画見放題に親がイライラします。そのイライラをなくすためにルールを作っているのです。
また、前述したように、子どもの成績が良ければ、ゲームをずっとやっていても、スマホをいつも所持していても、強いイライラは出ません。
(過去のMama Caféに参加したママさんからヒアリングした結果に基づきます)
つまり、子どもの勉強ができていれば親がイライラしないため、あえてルールを作る必要がなく、また作ってもざっくりとした程度のルールで済むわけです。
しかし菊池さんの場合は、イライラが出ているので、ルールを決めた方が賢明です。現在ルールは決めているようですが、守られていないので、正しいルール手順に則ってルールを再度決めて、その枠の中で子どもが楽しめる状態にするとよいと思います。
すると、親の気持ちが安定していきます。
その結果、子どもに対する対応が変わるので、子どもが勉強に向かう確率が高まるという仕組みを作っていきます。
ルールを決めても、それが守られない場合は、ルールの決め方に問題があります。そのようなときは大抵、「1日◯時間」「◯時になったら止めること」という程度のルールだったり、ペナルティも「◯日間停止」など、ざっくりしすぎたりしていることがほとんどです。
ルール決めには正しい手順があり、そのプロセスを経ていかないと守られるルールはできないのです。
正しいルールの作り方
以下ルール決めについて手順を書いておきますので、参考にしてみてください。
1.ルールの設定
通常は親が一方的にルールを決めることが少なくありません。
しかし、その場合、一旦問題が起こると子どもはルールを作った親の責任にすることがあります。
ですから、ルールを決めるときは、次の手順を踏んでみてください。
どのように使いたいか、ルールに関する意見をはじめに子どもに聞く。
親の考えを伝える。その際、なぜそのようなルール(1日1時間など)にしたいのか、親側の理由を明確に伝える。
親子で認識ギャップがある場合、 話し合いで着地点を作っていく。
2.ペナルティ制度
ルールを決めたものの、守れない場合もあると思います。
例えば、ゲームがわかりやすいですが、1日1時間と決めた場合、果たして1時間ちょうどで終わるでしょうか。
「これが終わってから」と子どもが言い、「しょうがないね!!」と親はブツブツ言いながら、決めたルールが破られていくこともあるのではないでしょうか。
1時間というルールであれば、1秒でも過ぎたらアウトです。
しかし実際は、こうしてルールが崩壊していくことがあります。
ペナルティを特に作ることなく、ゆるくやっていくという方法もあります。親がイライラしないのであれば、それでもいいかもしれません。
しかし、子どものスマホ使用について気になり、見るたびにイライラするのであれば、子どもとの合意の上でペナルティを作っておくことをお勧めします。
ペナルティを作るプロセスもルールの設定と同じです。
ルールが守れない場合、どのようなペナルティが適切か、子どもに聞きます。(もし、「わからない」と答えたら、「ではお母さんが決めていい?」と言って許可を取ってから決めてください)
それを受けて、親がペナルティの提案をします。
両者で話し合って、第3の案に落ち着かせます。
3.記録を残す
以上のやりとりを、すべてスマホの動画機能を使って残します。
言った、言わないという事態にならないためです。
記録が残ることで、子どもは自分が発言したことに対して責任を持ちます。すると守る可能性が高まります。
4.1週間後に再度調整
1週間後にルール、ペナルティの内容に問題があるときは再度親子で話し合います。厳しすぎた場合もあれば、甘すぎた場合もあるからです。
一度決めたルールやペナルティが適切であるとは限りません。
どちらかというと適切でない可能性も方が高いかもしれません。
そこで、問題がある場合は、再度話し合いで決めていきます。
例えば、1日1時間は果たして現実的なのかどうか再検討します。1週間で5時間とか、平日はなしで週末に5時間など、様々な利用の設定が考えられます。
このようにルールが守れない場合は、曖昧化させるのではなく、再設定し、それを繰り返して、親も子も納得できるルールに落ち着けていきます。
最後に
以上、スマホのルール決めについて書いてきましたが、目的は子どもが勉強するようになるためではなく、「親のイライラを減少させるため」になります。
親のイライラによって親子間の不信感が、勉強含めた生活面に影響を与えるかもしれないからです。
ルールとして決められた枠の中で子どもが使用するのであれば、全く問題がないと思います。もしそれでも問題であると感じるのであれば、それは、子どもに問題があるのではなく、ルールの設定に問題があると考えられるため、見直しをしてみてください。