テストの結果にどう声かけする?子どもの心を動かすシンプルな言葉5選
まず目に入るのは点数。次に、自分が期待していた点数との比較が始まり、「よかった!」「駄目だった」という判断が下ります。心から応援しているわが子だから、こういった気持ちになってしまうのは避けられないこと。
しかし、自分が感じたことを、即座に言動として子どもに伝えるのは、できる限り避けたいものです。思うようにならなかった結果に対して、「こんな点数とってどうするの」と言うのはもちろん、「よくできた!」と言い過ぎることも。
子どもの心は言葉で動きます。テストの結果に親はどう対応すればいいか、子どもの心を動かす具体的な言葉例を見ていきましょう。
親だからできる関わり
当然ですが、親は先生ではありません。親の強みは、子どもと日常を共にしていること。言葉にならない表情や態度から、子どもの気持ちを読み取れること。そして、ちょっとした変化に気づくことです。
例えば子どもが落ち込んでいるなら、共感し、悔しい気持ちを分かちあってあげられます。良い点数が取れたら一緒に喜び、「今日はケーキを食べよう」と、イベントに仕立てることもできるでしょう。
「こんなの見たくもない」と、答案用紙が投げ捨てられていたなら、傷ついていることを察し、そっとしておいてあげましょう。お腹がすいてきたころに、そっと出してもらった好物で、きっと心が満たされます。
点数が下がっているのにヘラヘラしている我が子を見れば、腹がたっても仕方ありません。しかし、そんな時こそ、子どもの表情や態度を深く読み取ります。ヘラヘラした態度とは異なる本心が見えてくるかもしれません。
日常を共にする親だからこそできることに意識を傾け、関わってみてください。
テスト後に必要な余白
「やった〜」「やばい、どうしよう」…。
テストを見れば、子どもの感情が動きます。ここに、子どもが成長するチャンスがあるのです。テストの結果に、親が即座に反応してしまうのではなく、子どもがその結果を見て、感じて、どうしたらよいかを考えるための余白を残してあげましょう。
感情の揺れの後、結果を自分ごととして受け止めるためには、少々の時間も必要です。待つ姿勢を大切にしましょう。「この子はどう受け止めるのかな」と子どもの様子を観察してみれば、新たな子どもの姿が見えてくるかもしれません。
テストの結果に対するNG対応
よかれと思っての言葉が、子どもの可能性を狭めてしまうこともあるものです。テストの結果に対して、できれば避けたいNG対応をご紹介します。よく使っている場合には、他の言葉に置き換えてみてもいいかもしれません。
1.くどくど言う
思うようにならない結果に対して、くどくどと説教をする。これは、自分のイライラをぶつけている行為です。
子どもは言葉より、親の表情を見ています。くどくど言われても、「お母さんは怒っている」くらいしか伝わらず、時間とエネルギーの無駄遣いになってしまいます。
2.子どもを責める
いかなる結果にも、理由があります。その理由を無視して、「あなたはなぜできないの」と、子どもを責めることはやめましょう。
気持ちが高ぶり、「あなたは駄目な子だ」と人格否定までしてしまうと、その後に深刻な傷を残してしまいます。
3.他の子どもと比較する
「◯◯ちゃんはできているのに」等、他児との比較は禁句です。心を傷つけるばかりでなく、子どもの人間関係までをも崩し兼ねない、非常に危険な言動です。絶対にやめましょう。
4.反省させる
子どもに「ごめんなさい」と謝らせる、「次はもっと頑張る」と反省をさせることで、自分の怒りを鎮めるのもやめましょう。
無理やり謝らせていると、そもそも誰のために勉強をしているかも、わからなくなってしまいます。
5.責任転嫁する
可愛いわが子が傷つくのは嫌。だからといって、「弟がうるさかったから」「習い事が忙しかったから」等、誰かのせいにするのは好ましくありません。
テストの結果は自分で受け止めるべきもの。よくないことが起きた時に、無意識に責任逃れをするような習慣ができてしまっては大変です。
テストの後にかけたいシンプルな言葉5選
「そんなつもりではなかったのに…」、本当に伝えたいメッセージが相手に届かなかった経験は、きっと誰にでもあるはずです。特に、感情が動く場面では余計な言葉が多くなり、意図しない内容が伝わってしまいがちに。
シンプルな言葉を選べば、伝わる力が高まります。テスト後に投げかけたいシンプルな言葉5選をご紹介します。
1.「◯◯を頑張っていたね」
たとえ、点数は思うようにならずとも、子どもは子どもなりに頑張っていたのです。テストまでの子どもの姿を思い出し、良かったことを伝えてあげましょう。テストで大切なのは、点数以上にテストに向かうプロセスです。
「遊びを我慢して勉強したよね」「朝はお母さんが起こさなくても、自分で起きられたね」等、テストまでの道のりを言葉で伝えてあげましょう。テストを面倒なもの、嫌なものとせずに、「頑張ることができる自分」に気づかせてあげることがスタートです。
2.「自分には何点をつける?」
更に、「テストに向けて準備をした自分」を客観視することができれば、今後の取り組みが変わってきます。
「自分には何点をつけてあげる?」と質問をしてみるのはどうでしょう。点数には反映されずとも、頑張っていたなら、きっといい数字が返ってくるでしょう。思っていたほど頑張れなかったのなら、低い点数に。テストに向き合う自分を客観視することで、テストの自分ごと化が進みます。
3.「何が原因だったと思う?」
思うような点数が取れなかった時に是非かけていただきたい言葉です。「あなたが悪い」のではなく、「うまくいかなかった理由」を一緒に探ります。
テストの結果を、もっとよくなるための課題発見に役立てましょう。「夜は集中できなかった」「準備を始めるのが遅かった」等、自分なりの課題が見えてくれば、対処法も見つかりそうです。自己否定することなく、落ち込みから回復することもできるでしょう。
4.「次はどうする?」
テストは運試しではありません。テストを受けることを確実な成長につなげるためには、「次の行動」に目を向けることが必要です。今回のテストを自分なりに受け入れた後に、「次はどうする?」と聞いてあげましょう。
「もっと頑張る」等、曖昧な言葉が返って来た際には、「そのために、何をする?」と更に質問をしてください。「◯◯をする」という具体的行動に落とし込んでこそ、人は動くことができるようになります。
5.「お母さんはこう思うよ」
子どものテストなのだから、子どもに任せることは大切です。しかし、子どもにまだ、知識や経験が十分にない時には、同じことの繰り返しになってしまう可能性も。親の視点や意見を伝えてみてはどうでしょう。しかし、押し付けにはならないように。
そのためには、あくまで一つの意見として伝える姿勢が必要です。「朝の方が集中できるよ」と伝えるのではなく、「お母さんは、朝の方が集中できると思うよ」と伝えます。一つの意見である以上、選ぶも選ばないも、子どもの判断です。強制ではなく、視野を広げるために効果的な伝え方です。
最後に
まず目に飛び込んでくるのは、点数でしょう。しかし、その次にかける言葉を変えることで、テストの意味合いは変わってきます。子どもがテストを自分ごととして捉え、次への頑張りにつなげられるよう、心を動かすシンプルな言葉かけを工夫してみてください。