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要注意!親の一言で壊しかねない"子どもの人間関係"

「あの時、ママが言ったからそうしたのに…」

筆者が娘から言われてハッとした言葉です。自分には記憶がありません。親の一言は、自分が思っている以上に、子どもに大きな影響を与えていることに気付かされました。

それでも、子どもが人間関係に悩んでいたとしたら?悩ましい親の関与について考えていきましょう。


仲良し親子が増えている?

「ママ、聞いて!彼氏と喧嘩しちゃったの…」
「お父さん、週末はランチに連れていって!」

親には何でも話す。親のことが大好き。こんな仲良し親子が増えているようです。

少子化に伴い、一人の子どもにかけるエネルギーが大きくなったこと。仕事をしながらの子育て故に、コミュニケーションを密に取ろうとしていること。リモートワークやオンライン授業の一般化により、家族が共に過ごす時間が長くなったこと。仲良し親子を生み出す背景には、様々な要因がありそうです。

大学にも保護者会があったり、就職活動も親抱えであったりと、密になった親子関係は、子どもの世界と大人の世界の「線引き」をも、あいまいにしています。意識をしておかなければ、行き過ぎた関与となってしまう可能性も。親子仲が良いのは、とても素敵なことですが、子どもの自立を促していくのが親の役割。ここだけは忘れないようにしておきましょう。

葛藤を経験する価値

さて、大切な子どもが「人間関係で悩んでいる」と話してきたとしましょう。かわいそう。なんとかしてあげたい。原因は?どうすれば解決できるの?親の心には、咄嗟にこのような気持ちが沸き起こってくるかもしれません。

しかし、ここで意識しなければいけないのは、「悩む」という経験の機会を奪わないようにすること。うまくいかない経験に悩むことは、子どもにとって貴重な成長のチャンスだからです。

生涯必要な人と関わる力。この力は、自ら経験しなければ、培うことができません。スキルだけを知っていても、どうにもならないということです。思いが異なる相手とぶつかり、葛藤を経験する。その中でもがき、苦しみ、なんとかしようと行動する。このプロセスを踏むことで、人と関わる力が身につきます。

子どもが悩めば心配になりますが、「この子なら大丈夫」と、信じて見守る姿勢をとっていきましょう。

子どもの人間関係への親の関与

それでも、悩んでいる子どもを放置するのも気がかりです。へこんでいる子どもを突き放してしまうことには、悪影響だってありそうです。親として、やってはいけないことやるべきことを見ていきましょう。

【やってはいけないこと】

1.人の評価をする
子どもの人間関係に関して、「それは相手が悪いのよ」など、評価を下すことはやめましょう。そもそも外野である親は事実をすべて知っているわけではありません。知ったつもりになって評価することには、百害あって一利なし。

余計な一言は、子どもの人間関係を壊してしまうきっかけにも。後には、親子の関係性まで崩れてしまいかねません。

2.助言する
そもそも、子どもからの話(主訴)だけでは、子どもを取り巻く状況を正しく理解することはできません。あいまいな理解の元で発せられた助言は、子どもを返って惑わしてしまいます。

自分と子どもは個性も異なれば、生きている時代も環境も違うのです。全く異なる文脈から生み出された成功体験は、的外れになってしまう可能性大。不必要な助言によって、子どもが自らなんとかしようとする力を奪い取らないようにしましょう。

3.自分のスタイルの押し付け
他者との関わり方については、自分なりのスタイルがあるものです。例えば、慎重に人間関係を作る人もいれば、社交的にすぐに仲良くなる人も。もちろん、どちらが優れているという話ではありません。

自分の人間関係の構築スタイルを正解として、子どもに押し付けるのはやめましょう。苦手とするスタイルを押し付けられることで、自己否定が始まってしまうかもしれません。

4.肩代わりする
子どもを守ることと、子どもの課題を肩代わりすることは全く異なります。親がやるべきは、子どもが自分で解決できるように、子どもの力が引き出される環境を作ること。

例えば、「子どもに代わって先生に伝える」など、肩代わりをしてあげれば、一時的に状況は好転するかもしれません。しかし、すぐに限界がきてしまいます。子どもの成長という観点を忘れずに、関わり方を考えていきましょう。

5.全てを知ろうとする
子どもには、子どもの世界があります。親は子どもの世界の住人ではありません。子どもの人間関係を全て知ろうとするのは考えもの。子どものプライバシーは尊重しなければなりません。

「悩みがある」と言われれば、根堀り葉掘り聞きたくなってしまいますが、知りすぎてしまうと、黙っていることも難しくなりそうです。ここはぐっと我慢。子どもが話したいことは聞くとしても、事情聴取のようにあれこれ聞くのは控えましょう。

【やるべきこと】

1.共感的に聞く
心がへこんでいる子どもに、親がやってあげられることは、「わかってあげる」こと。共感的に聞くことが、最も大切です。子どもの意見に賛同する必要はありません。しかし、今子どもが悲しい気持ちになっているなら、「それは悲しいよね」と共感的に寄り添ってあげましょう。「悲しいよね」などの「気持ちの代弁」が役立ちます。

話をすることで、子どもの心の中には、新たな「スペース」が作られます。スペースが作られれば、「これからどうするか」と、前向きに考えることができるようになります。

しかし、子どもが話したいと思わない限り、こちらから「話を聞く」ことはできません。日頃から会話がしやすい雰囲気を作っておくことも大切です。

2.自己理解を促す
人間関係がうまくいかないのは、往々にして相手との思いのズレ。相手との違いを知ることをきっかけに、自己理解も促していきませんか。解決だけに注目するのではなく、「あなたはどうしたいの?」「あなたはどう思ったの?」などの質問をしてみます。「自分はどうなのか」と考えることで、自分のことをもっと知ることができるようになります。

自分のことを客観的に見る視点ができれば、納得感をもって判断や選択ができるようになります。他者との違いから生まれるストレスも軽減されそうです。

3.気になる時は、こちらからアプローチ
基本的には、子どもの人間関係は子どもにしか解決できません。子どもに任せることが、成長にも繋がります。

しかし、もしも子どもの手に負えないようなことが起きているとしたらなら、親の介入が必要です。専門機関につなげる必要がある場合もあります。「子どもの様子がおかしい」「身体反応が出ている」などの場合には、親側からアプローチをしてください。

しかし、無理やり子どもの世界に入り込むことはできません。無理な介入で、返って傷を大きくしてしまうこともあったりします。関わる際には、あくまで子どもの同意を得る必要があります。

非常にデリケートな問題故、まずは他愛ない会話など、子どもの心を開くことから始めましょう。なんでも話せる関係性ができれば、「実はね…」と話してくれるかもしれません。緊急性が高い場合には、専門家に相談してください。

一つの経験は、子どもを大きく成長させます。家族の見守りがあれば、困難な経験を超える力も湧いてくることでしょう。「あなたにはこんな素敵なところがあるよね」と、強みを伝えながら、子どもの心を元気にしていってあげたいですね。

執筆:江藤 真規さん
株式会社サイタコーディネーション代表。
自身も子育て経験を持つ二児の母で、お子さんは姉妹共に東大現役合格。
現在はエデュケーショナルコーチとして保護者、教職員・保育者を対象に、コーチングに関する講演・セミナー、執筆活動を行う。
文部科学省「男女共同参画推進のための学び・キャリア形成に関する有識者会議」の委員も務め、共働きに関する知見も深い。

著書
『勉強ができる子の育て方』
『合格力コーチング』
『子どもを育てる魔法の言い換え辞典』
『母親が知らないとツライ「女の子」の育て方』

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