子どもの"あきらめ癖"を克服!チャレンジ精神を育む言葉かけのコツ
子育てにイラッとするのは、子どもが良くないことをしたり、反抗してきた時だけではありません。「難しいことになると、チャレンジしなくなってしまう」、こんなもどかしさを感じる時にも、イライラ感情は沸き起こってきます。そして、「やらせよう」と思えば思うほど、子どもは頑なに動かなくなり…。
子ども自身が「やってみよう」と思うためには、何が必要なのでしょう。子どもにかける言葉かけのコツをご紹介します。
「難しいことにチャレンジしない」の背景
「ちょっと難しくなると、諦めてしまうんです」
「応用問題になると、投げ出してしまいます」
親としては、すぐにでも克服したい課題。しかし、挑戦させようとしても、子どもの心は動きません。
まずは子どもの気持ちを探ってみましょう。親の心には「チャレンジしないのは難しいから」と、単純な因果関係が思い浮かぶかもしれませんが、原因は「難しいから」だけではない可能性も。
例えば、やり方がわからなかったり、どうせ自分には無理だという否定的な考えに支配されていたり、他に不安なことがあって集中できない環境だったり。一つの事象の背景には、様々な要因が潜んでいるのです。複雑に絡み合っていることも多々あります。
まずは、「いろいろ感じているんだろうな」と、子どもの気持ちを察し、勝手な思い込みから離れてみましょう。
その言葉は逆効果?言葉の影響を知りましょう
子どもの「チャレンジしない」にぶつかった時に、急いで励まそうとしていませんか。
「頑張って。大丈夫、できるから」
よく口にする言葉かと思いますが、気持ちが落ちている時には、かえって逆効果の可能性も。「それはとても難しいよ」という意味で伝わってしまいます。
言葉は、人の気持ちさえ変えてしまうほどの大きな力を持っています。「よし、やろう!」と思っている相手には効果的な言葉であっても、場合によってはネガティブな影響を与えてしまうことを理解しましょう。
言葉は習慣、さらに無意識に発動します。まずは自分の言葉が相手にどう伝わっているかを探り、その上で伝わりやすい言葉を見つけましょう。「どうしてあの時頑張らなかったの」と問われても、「できなかったから、できなかったんだよ」以外の答えは、誰も持ち合わせていないのです。
子どもの挑戦を引き出す力、自己効力感とは?
子どもの「やってみよう」につながる言葉かけを紹介する前に、基盤となる自己効力感について説明をしましょう。
自己効力感とは、自分の行動に関する可能性の認知のこと。「やってみよう」、「自分ならできるだろう」と思える気持ちのことであり、アルバート・バンデューラという心理学者によって提唱された概念です。「やってみたらできた」、「難しかったけど努力したらできた」などの経験を積んできたことが背景にあるそうです。
自己効力感は、「できるかどうかわからないけどやってみよう」という挑戦心と密接な関係にあります。挑戦に難しさを感じる際には、自己効力感を育むことを意識してみましょう。
「やってみよう」を育む言葉かけのコツ
大きな力を持つ言葉かけ。ここでは、「やってみよう」という気持ちを育む言葉かけを、場面ごとに紹介します。日常で使えそうなものがあったら、言葉かけのレパートリーを増やす意味でも、是非試してみてくださいね。
1.プロセスを褒める
子どもがいい点数をとってきた場面です。そんな時こそ、意識してプロセスを褒めましょう。
「毎朝頑張って勉強していたよね」
「何度も繰り返し解いていたね」
プロセスを褒めることで、子どもは「自分は努力できる人だ」という意識を高めます。また、子どものことを良く見ていなければ、プロセスを褒めることができません。自分の取り組みに気づいてもらえたことで、安心感も持てるはずです。
2.子どもの努力を見つけて伝える
応用問題になったら、解けなくなってしまったとしましょう。それでも、子どもは努力はしていたはずです。
「頑張ったね」
「難しかったけど、何度も読んでいたね」
小さな努力を見つけて、伝えてあげましょう。たとえ、問題は解けなかったとしても、やろうとした努力は認めてあげましょう。ゼロから1に動くためには、小さな一歩でいいのです。「努力できる自分」をイメージすることが大切です。
3.見方を変えて言い換える
集中力がないことが気になっているとしましょう。伝えたいメッセージは、リフレーミングすると伝わりやすくなります。
「好奇心が旺盛なんだよね」
「いろいろやりたい気持ちはわかる」
「早く答えを出したいのよね」
リフレーミングとは、フレームを変えて伝えること。一つの事象を異なる角度から見て、言い換える技術です。
「挑戦しない」は、慎重ということ。
「応用問題が苦手」は、基本問題が得意ということ。
現状をポジティブに受け入れることで、自信をもったり、未来に意識を向けることができるようになります。
「基本問題がすごくできているよね。その調子で、次の問題もゆっくり読んでみようか」となれば、応用問題へのハードルが少し下がりそうです。
4.子どものための質問をする
「わからない」と、解くことを諦めてしまった場面です。子どもが自分で解決に向かうためには、質問が役立つかもしれません。
「この問題で一番難しく感じているのはどこかな」
「あと10分頑張るためには、何が必要かな」
これらの質問は「子どもが考えるきっかけ」を作るための質問です。「わからない」から一歩前進するためには、思考の整理や自分の客観視が必要です。子どもには力があることを信じ、質問を工夫してみましょう。
人は、そもそも自己効力感が高い生き物です。いつからでも遅くない。「子どもがやってみよう」と思える環境を、言葉かけで工夫してみてください。もちろん、子どもだけではありません。皆さんご自身も、「やってみよう」の気持ちをもって日常を過ごせば、きっと新しい景色に出会えることと思います。